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rainy day
【学園物 官能小説】

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rainy day-4

「亜紀…」
「ん…?」
「俺を利用していいって…言ってるじゃん。俺は亜紀に無理させたいんじゃない…。」
人の体は温かい。
新井の体温は、亜紀の心を溶かしていった。
「…ん」
悲しくて、辛くて、この気持ちをどこにぶつけていいかわからなくて…
「ずっと…我慢してたんだよな…」
誰かにわかってほしかった。
誰かに支えてほしかった。
「あッ…」
「俺がいるから…」
新井は亜紀を傷付けないように、痛くならないように、優しく動く。
「ッ…ん」
亜紀は新井を見上げて言った。
「…あたしは…本当にッ…あっ新井くんの事利用してるだけだよ…ッ?」
「かッまわな…いよ。」
「んッ…あぁッらいくん…」
あぁ…だめ。新井くんの優しさに、甘えてしまう。
駄目なのはわかってる。
でも…
「慎平ッて…呼んでッ」
「しん…ぺぇッ…」
優しさを振り払える程、私は強くなかった。
亜紀は慎平の腕に手を絡ませる。
「亜紀っ…ぁ…俺ッもぉ…」
「一緒にッ…」
慎平は亜紀に応えるように、亜紀の手をとった。
「あッイ…くよッ」
「ッあッ…亜紀っ」
「慎ッ平ッ…」
「「あぁッ…!!」」
―…
「雨…止まないね。」
「ね…。」
「さ、帰ろう。」
慎平は傘を開いた。透明な花が雨の中に咲く。
「亜紀、傘は?」
亜紀は首を横に振る。
「…どうぞ、お嬢さん。」
少し照れくさそうに、慎平は亜紀の方に傘を傾けた。
「ありがとう…」

私は…裏切った。
達哉があたしを裏切ったように、あたしも達哉を…裏切ったんだ。
私は慎平の優しさに甘えてしまった。

慎平は、あの日から“あたしだけ”に降る雨の中、あたしに傘を差し出してくれた。そして、あたしはその傘に入った。
私は、達哉を許せる程寛容な心を持ち合わせてなく、傘を断れる程強くはなかった。

雨は嫌い。
雨は全てを流してしまうから。
雨は全てをさらってしまうから。
私達は…
もう戻れない気がした。

―完―


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