第1話-2
翌朝、近くの川の土手上に出ます。
「空が広くって、気持ち、いーですね。
このまま自分の足で、知らないところまで走っていくなんて、ワクワクしますね」
「ね?いいでしょ?好きな人と、同じ風景を見て、同じに感じるって幸せなことだわ」
「ほんとにそうですね」
「どこまでも一緒よ」
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今日も三人で、ジョギングでスタートです。
「あ、やぁ」
「おはよう」
ナオさんが、すれ違った二人組みと挨拶しています。
「素敵なお姉さんですね。ナオさんのお知り合いですか?」
「うん、同じジムの人だね。若い人のほうは最近入った人だね。
さっそく仲良くなって、マラニックなんていいね」
「まらにっく?…」
「マラソンとピクニックを合わせた造語よ。自転車でするとサイクリングになるわね」
「先週の峠越えマラニックのときの、雹はすごかったですね」
「死ぬかとおもった…」
「いやー、あれはびっくりした。
止まると冷えるから、強行突破するしかなかったもんね。
80キロも走ってきて、今更戻るのヤだったし」
「私たちはギア付き小径車ですけど、ナオさんはあきれるほどタフですね」
「二人とも、文句も言わず頑張ったよね」
「だんだんなれてきた…」
「さっきの二人もなんだか楽しそうでしたね」
「あの二人デキてるわよ」
「またぁ。本当ですかぁ?」
「私、お姉さんのほうに誘われたもん」
「ええっ!それでナオさんは何ていったんですか?」
「正直に、パートナーがいますって言ったよ。
まさか、このチビ子さんが相手だとは思ってないだろうね」
「にぇひぇっ。ま、まぁ、そうですよね」
私は、顔がニヤけて元に戻りません。
「きっと、困難も幸せも、同様に確からしい確率でやってくるんだ。
困難は長くは続かないし、幸せは続くように努力するんだね。
あの二人にも色んな困難が降りかかって、絆が強くなるといいね」
「そうですね」
「さて、今日はサンドイッチを買って、ジャグジーパーティーしようか?」
「「わーい!」」
「新居に、三人入れるジャグジーをつけて良かったわぁ。走った後に最高の贅沢よね。
美さきはこないだみたいに、バブルバスひと瓶入れたらだめよ。後が大変なんだから」
「あっ、さっきの二人…チューしたぞ…」
「誤魔化さないの」