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夕焼けの窓辺
【その他 官能小説】

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第7話-21

腰の動きに合わせるように、英里の胸も激しく上下に揺さぶられる。
その扇情的に姿に、圭輔は思わず彼女の両方の乳房を鷲掴みにして、荒々しく揉みしだく。
少し力を加えただけで形を変える柔らかい彼女の胸。
全部、自分だけのものだ。そんな独占欲に駆り立てられる。
ぐっ、と強く、自分自身を彼女の中に刻みつけるかのように、深く腰を打ちつける。
「あぁぁっんん……!」
間断なく喘ぎ声が漏れ、抑えられない。きっとまた近所には筒抜けだろうが、気にしていられない。
全身全てが性感帯になってしまったかのように、溢れる快感に押し流されてしまいそうだ。
「けいすけ、さ……好き、大好き…」
彼の名前を呼ぶことで、自分の存在を確かめようとする。
彼を愛していると叫びたい、何度も何度でも伝えたい。
彼女の薔薇色の唇から、うわ言のように何度も、吐息混じりに愛の言葉が紡ぎ出される。
「んっ……俺も」
彼女の中で締めつけられて、射精感を堪えていた圭輔も、何とか笑顔を見せる。
噛みつくように、彼女の唇を貪った。
もどかしげに息継ぎをしながら、短いキスを何度も繰り返す。
緩急をつけて、抽送を繰り返す。優しく包み込む襞が、絶頂を促す。
「英里、イくよ……」
「わ、私も……」
「一緒に、イこう……?」
切れ長の瞳の目元を優しく緩ませて、圭輔は英里に微笑みかけた。
英里も何とか笑顔で応える。
両手の指を絡ませながら、また口づける。切羽詰まった喘ぎ声が漏れ、息苦しい。
もうすぐ、溶け合って一つになれる。
霞ゆく意識の中、英里の体は悦びに満たされる。
一際大きな奔流が全身を駆け巡り、共に絶頂を迎えた。


「はぁ、はぁ、はぁっ……」
酸素を求めて、激しく胸が上下する。動悸がおさまらない。
それは圭輔も同じようで、英里の隣に横になった彼も、肩で荒く息をしている。
こんなに激しく、ひたすら互いを貪欲に求めあったのは初めてかもしれない。
心地よい疲労感と同じ位の充足感。そして、幸福感。
「圭輔さん、すき……」
まだぼんやりとした口調で、英里は愛を告げる。
「わかってるよ」
熱くて、激しくて、でも愛おしくて。
こんな激情が自分の中にあるだなんて、彼女と出会うまでは知らなかった。
圭輔は淡く微笑んで、彼女の頭を優しく撫でると、赤く色づいた彼女の唇にそっと口づける。
慈しむように優しいキス。あまりに幸せで、涙が溢れそうになる。
床の上に寝転んだまま何度もキスを交わしながら、しばらく無言の時を共有していた。
薄暗い部屋の中に、微かだが、湿った喘ぎ声だけが漏れる。
ようやく落ち着きを取り戻し始めた彼女は、自分の大胆な行動を思い返して、ほんの少し恥じらいを感じた。
でも、どんな自分を曝け出したって、この人なら受け止めてくれると信じられる。
目が合うと、互いに自然に笑みが零れた。



「もう9時だな、そろそろ帰らないと……」
名残惜しそうに圭輔がそうぽつりと呟くと、英里もまだ情事の後で気だるい体を起こした。
それから二人で素早くシャワーを浴びて、身支度を整える。
靴を履き、玄関の扉を開ける直前、英里は振り向いた。
「圭輔さん、帰りは一人で大丈夫です。それに、もう会うなって釘刺されてるのに、一緒に家に帰って行ったりなんかしたら、また何か言われそうだし……。両親に反対されても、私は圭輔さんについて行くって決心したんですけど、でも、出来たら両親にも認めてもらいたいなって……」
うっすら笑みを浮かべながらも、最後の台詞を口にした時の彼女の顔は寂しげだった。
圭輔は、そんな彼女の頭を自分の胸に引き寄せ、抱き締める。
「俺だって、もちろんそう思ってるよ。だから、これ」
「え……?」
英里が顔を上げると、圭輔は彼女の左手を取り、薬指に小さなダイヤの指輪を嵌めた。
「婚約指輪。俺達の仲、認めてもらえなくて、今すぐ結婚できなかったとしても、いつまでも待つから、その誓いの証……」
優しく微笑むと、思い掛けない贈り物にまだ呆けていた英里の唇に、軽く口付けた。
彼の手によって嵌められた、左手の薬指を俯き加減に見つめていた英里の体が、小刻みに震える。
「圭輔さんの、ばか……」
「えー、な、何だよ」
再び顔を上げた英里の目には、今にも零れそうな程の涙が溜まっていた。
「どうして、帰り際に、泣かせるの……。こんな嬉しいことしてくれるなんて……ばかばか、もう、涙が止まらないじゃないですか……」
溜まりきった涙がついに溢れて、ぼろぼろと頬を伝って零れ落ちる。
それが嬉し涙だとわかって、圭輔はほっ、と安堵の吐息を吐くと、彼女の瞳から止め処なく流れる涙を親指で優しく拭う。
「嬉しいことも、悲しいことも、これからは共有していきたいんだ」
嬉しいこと、楽しいこと、いろんな気持ちを彼から貰ってきた。
今度は自分もそれをあげたい。辛いこと、苦しいことは共に背負いたい。
(あぁ、一緒になるって、こういうことなんだ……)
自分が彼と釣り合わないんじゃないかとか、付き合い始めてからこれまでたくさん悩んできた。
だが、今辿り着いた答えはとてもシンプルで。
また独り善がりに悩むことがあるならば、それ以上に相手のことを理解し、受け入れ、愛し合う努力をすればいい。彼はきっとそれに応えてくれる人だ。
ぱっと、目の前の視界が大きく開けたような、清々しい気分だった。
「一人で帰らせるのは心配だから、途中まで送るよ」
「はい……」
一度、瞬きをしてから涙を拭うと、英里は満面の笑顔で微笑んだ。


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