十八歳果実熟れ頃（２）-1
（１３）
美緒も彩香もふとした目つきや表情が陽子に似ていると思うことがある。それは子供の時にも感じたことだったが、成長してみるとさらにリアルに重なってくる。
陽子と結ばれるまで一年もかかったのは彼女の心の問題である。過去に想いを寄せ、体を許した相手がいた。そのことが坂崎との関係をためらわせていた。未練があったのでも、坂崎の愛を信じなかったのでもない。
（受け入れたい……）
だからこそ葛藤に苦しんでいたのだ。
別の男に委ねた体。そんな自分に資格があるのか。本気で悩んでいたのである。陽子はそういう女だった。
力づくでものにする気にはならなかった。それは坂崎の心の在り方、あるいは初めて女を愛した繊細で臆病な心情を整理しきれなかったのである。この女は単なる性欲の相手ではない。
陽子が涙ながらに告白し始めた時、彼は遮って抱きしめた。
「そんなことは言わなくていい……」
その夜、坂崎は結婚を申し込み、結ばれた。
一つになった瞬間、陽子は彼にしがみついて泣いた。
陽子はセックスが好きだったと思う。あまり積極さはなかったがそれは性格的なものだろう。感度も十分だったし内に秘めて高ぶる熱情ははっきり伝わってきた。
何度目かの交合の時、陽子は達した。行為中、喘ぎを洩らし呻き続けるものの言葉を口走ることのなかった彼女がその時全身をおののかせて叫んだ。
「イクゥ！」
彼にとっても歓喜の瞬間であった。心身ともに迷いが吹っ切れたのだと確信した。以後、一体感が一段と深まったものだ。
妻との思い出を脳裏に浮かべながら、彩香や美緒の大胆さに改めて驚く。
美緒に愛撫を施し、肉感を愉しみながら、坂崎は久しぶりに熱く燃える想いをコントロールしている実感を覚えていた。彩香の時にはなかった余裕ができている。自身も高まりつつ、美緒が悦楽に溶けていく過程を視覚や聴覚、嗅覚を駆使して若い肉体を堪能しようと味わった。頭上を覆っていた暗雲が晴れた気持ちであった。
彩香と関係したことを重く引きずっていたことが美緒によって呆気なく解消され、そればかりか彼女自らセックスを望んで身を任せてくる。こうなれば伯父と姪といっても血縁はないのだし、双方が求め合えば何も気にすることはない。吹っ切れた思いが余裕を生んだのだった。
唇を合わせると素早く美緒のほうから舌を差し入れてきた。抱きしめてたっぷりの肉感を感じる。
（挿入は夜にしよう。今はこの子を燃えさせるのだ。そして柔肉を楽しもう）
そのためわざとジャージを脱がさず、上半身を中心にねっとりした愛撫を遅々として続けた。
実った乳房には息を呑んだ。
（美しい……）
形はもちろん、大きさ、体とのバランス、讃える以外に言葉はない。張っているのに柔らかい。寄せると深い谷間ができる。
（ここにペニスを挟みたいものだ……）
坂崎はゆっくりと顔を埋めて舌を這わせていった。
「あはん……」
喉を見せて反りあがり、ソファに倒れ込む。坂崎が重なっていくと、膝を曲げて脚を開いたのは経験というものだろう。
「伯父さん、濡れちゃった……」
美緒は鼻声を出して股間を突き上げてくる。
「濡れたの？」
「もう、とっくだよ……」
半開きの口から舌先が伸びて誘いの動きを見せた。瞳が潤んで妖艶な輝きを放って坂崎を惑わせる。それでいて愛らしい。
「ああ、美緒……」
濃厚なキス。舌の絡み合い、吸引、唾液が溢れてくると分け合って飲んだ。
尻を撫でると、
「ああ……お願い……」
甘い声を上げてズボンの上から彼を掴んできた。
（相当知ってるな……）
「カチカチだね……」
息を乱しながら言う。
（まだ十八だ……）
「夜、ゆっくりとね」
「いや、今も、夜も」
「もうすぐお寿司が来るよ」
「だからちょっとだけ」
「美緒をいっぱい愛したいんだ。ゆっくり、全部」
「いまだめ？」
「あとで。その方がもっと感じるよ」
「うふん。伯父さん、いじわる……」
「美緒……」
坂崎がキスするとふたたび舌が入ってきた。