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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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-7

「これだけのもんを持っているのなら、彼氏とかいなかったのかな」

 黒城が率直な疑問を述べた。

「いたとなると、彼氏とその仲間に集団で乱暴されたってことも考えられるな。しかしこんな画像を見せられたんじゃ、素直に同情できないぜ」

 クリックの音が耳の奥ではじけるたびに、パソコン画面の彼女の行為はさらにエスカレートしていく。

 白い乳房を両手で支えながら、谷間にバイブレーターを挟んだもの。
 ぐずぐずに濡れた局部の内壁をさらしたもの。
 女性器の口からピンクローターのコードを垂らしたもの。
 愛液をまとった指を舌で受け止めて、粘つく糸を引いたもの。

 さらには人の手首ほどもある太いディルドに跨って、深々と腰を落として、背中をしならせる姿。

 パートナーの姿が写り込んでいないところを見ると、自慰行為の範囲を越えるものはなさそうだった。
 しかしながら徳寺麻美の性癖はどの画像にも見て取れるし、すべて無修正である。

 いきなり、目の前の景色に蜘蛛の巣状の亀裂がはしり、音もなく割れていくような幻覚におそわれたのは、黒城だった。
 画像の中の若き被写体がいびつな形に歪み、彼の頭を痛めつけていた。
 意識が朦朧としていく。

「おい、大丈夫なのか。顔色が悪いぞ?」

 小田があわてて声をかける。

「ち、ちょっと酔いがまわっただけさ。帰って寝れば、すぐに治る……」

 飲みかけの缶ビールをデスクに残したままの黒城は、眉間に深い皺を刻んで立ち上がる。
 頭が重い。

「送って行こうか?」

「いいや、いい……」

 小田の気遣いを断って、具合の悪そうな足取りで黒城は帰って行った。


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