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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ハツミ-1

彼と出会ったのは雑誌で見つけたある洋菓子店の前だった。
ショーケースに並んだ色とりどりのケーキをカフェテラスで紅茶と一緒に頂こうか、それともテイクアウトにしようかなどと考えて店のドアを開こうとすると
「ラズベリーのタルトを2つテイクアウトして下さい!!海辺でロングヘアーでちょっとお姉さんな彼女と食べたいから!」
と言う声が車道の反対側から…。
私が驚いて振り返るとそこにはガードレールから身を乗り出し、私を見て微笑む男の子。
―面白いこだな…

「いいよ!ご馳走してあげる!但し食べるのはこのカフェテラス。その後の事は相談しましょ!」

ラズベリーのタルトと紅茶それぞれを前に向かい合うと彼は
「いっただきます!」
と言ってタルトにフォークを伸ばす。
ふと下を向いた彼の少しだけ幼さの残る顔のまつげの長さは女の子のよう。
けれど背は高く、体も程良く筋肉がついているよう。
明るく色を抜いた髪はツンツンと逆てているけれど、長く伸ばした襟足の髪は1つに結っていた。
服はお洒落なジャケットに黒にシルバーのストライプが入ったシャツ。
首や腕、指に光るシルバーのアクセサリーのセンスも申し分ない。
歳はきっと私の1つか2つ下だろう。
「若いのに随分お洒落さんなんだね。」
「そぉかなぁ??お姉さんだって十分お洒落さんだよ!でもお姉さんが綺麗なのは素がいいんじゃないかな?」
そぉいって微笑んだ口元が可愛い。

なんだか恥ずかしくなって私は
「君女の子みたいに可愛い顔してるし、その髪にかわいいリボンを結んだら完璧ね!」
なんて冗談ではぐらかす。
「おっけぇ!!じゃぁこの後の予定は俺の髪に似合うリボンを一緒に探しにいくって事で決まりね!」
「よし!私が可愛いの選んであげる!!」

―本当にこのこ可愛い


タルトを食べ終え近くの私の馴染みのセレクトショップへ。
私が選んだリボンは黒に銀糸が織り込まれた彼のシャツと似通ったデザイン。
「さっすがお姉さま!まだ出会って2時間だっていうのにもう俺の好みを熟知しちゃうなんて!!!」

―彼はこのリボンを髪に結んで街を歩くのだろうか?

そんな事を思っていると
「リボンをつけて歩くのは恥ずかしいから2人きりになれるフィッティングルームに行かない??」

―そうきたか!

「あはは!いいよ。」
彼がそんな風にチャカして言った場所がどこなのかは私にもわかった。


隣を歩く彼が不意に真面目な表情をして
「フィッティングだから大きな鏡がある部屋がいいよなぁ〜」
なんて言ったから私はおかしくなった。
笑いながら彼の腕を軽く叩くと彼はその私の手を取り、指に自分の指を絡ませながら
「だって重要なことだよ〜??」
なんて言う。
手も繋いだまま、こんな彼の調子にのせられながらホテルの部屋の前まで来た時、私はお互い名前も知らない事に気付いた。


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