聖なる淫水(3)-1
(8)
「彩香……いいのか?」
つぶらな瞳が長いまつ毛に遮られている。言葉はなく、やっと目が開いてまた閉じた。それが返事であった。
部屋に入るなり磁石のようにくっついて抱き合い、転げ回ったので布団は斜めになってシーツはしわくちゃである。
胸を合わせてむせるほどの乙女の匂いに彼は酔いしれた。
(彩香を抱きしめている。十六歳の少女が俺の胸で喘いでいる)
それは感動といっていい夢のような現実であった。
ほんのりと赤みの差した耳にそっと息を吹きかけて唇で耳たぶを挟む。
「ああ……」
身をよじって口が開く。その濡れた唇を被って舌を差しいれた。彩香の舌は絡むことなく奥に引き込んだまま抗うように動く。
首筋もピンク色に染まっている。肩の辺りは華奢で肉付きは薄い。だが磨き込まれたように滑らかである。
(何もかもがきれいだ……)
腕を広げた時、脇の下の柔肌が覗いた。ふだん閉じられているこの部分の肌合いは特有の艶めかしさがあると坂崎は思っている。陽子のそれにも好んで鼻を押し付け、唇を這わせたものだった。
腋に口を寄せようとすると彩香は腕を縮める。抵抗ではない。少し顔を押しこむと腕が上がった。腋毛の剃りあとが黒い点となっている。
(たまらない……)
口をつけ、舐める。
「ああ、感じる……」
彩香は声をあげ、両腕を上に伸ばしてのけ反った。身を任せる格好がいい。
乳房の膨らみが頬に触れる。その美肌、美形、乳首……。坂崎は乳首に吸いついた。
「あっあっ、伯父さん!」
スリムな女体が伸びあがる。
乳首をころころと口中で転がし、一方の膨らみを揉み、突起を摘まんでは軽くひねった。
「感じる、感じるぅ!」
(こんなに感じている)
彩香の反応と嬌声は坂崎にとって自分が直接受ける愛撫に匹敵するほどの昂奮をもたらした。まだ熟れはじめたばかりの少女が快感の波に揉まれ、可憐な乳房を迫り上げ、押しつけてくる。その熱く燃える彼女の肉体そのものが容赦なく彼の五感を錯乱させる。余裕はなくなってきている。が、もっと味わいたい。
乳房をめぐり、若肌の匂いを吸い込み、引きしまった腹部へ。くびれた腰はまだ脂は乗り切っていないが女の躍動はある。
いよいよ秘境へと向かう。指で秘裂をさぐる。
「ひゃ!だめ!」
逃げようと脚を閉じる。彼の頭を両手で押さえてくる。
身を任せる想いでいながら、羞恥なのか、秘所をさらけ出すとなれば無意識に防御してしまうのかもしれない。
「彩香、動かないで。やさしくするから」
「ああ、ああ……」
消え入るような声である。
「彩香……」
「……はい……」
観念のセンサーが眼差しに光った。
間もなく彩香の反射的な抵抗は少しずつ解け、股間が割れた。
陰毛の広がりは狭く、一帯の色の白さが透けるようである。
丘の真ん中にくっきりと亀裂が現れた。
(おお!)
蜜液が陰唇の壁を越えて溢れている!
内肉は透明感のある淡い紅色。秘口を被う唇は左右に薄く黒ずんだ小さな峰となって濡れ光っている。陰核も充血して包皮を押しのけようともがいている様相に思える。
「ああ、伯父さんに見られてる……」
「見てるよ。きれいだよ、彩香」
「恥ずかしいよ」
「きれいだからキスするよ」
坂崎は太ももを持ち上げ、間を置かずに唇を割れ目に押しつけた。
「ああっ!気持ちいい!」
ぐんと上体がのけ反る。
「感じるよ伯父さん!」
洗浄が不十分だったので微かに臭いが残っている。
(彩香の臭いだ……彩香の臭い……)
陶酔する。体臭や汗、そして女陰の分泌物。久しぶりに嗅いだ。しかも思春期の活発な肉体だ。