聖なる淫水(3)-3
(9)
カーテン越しに差し込む陽の眩しさに目覚めた。隣には彩香の寝顔があった。
(彩香……)
下半身はは夏掛けで被われているが、全裸である。自然光の中でプリンのような乳房はひときわ眩しい。首筋から愛らしい膨らみはうっすらと汗ばんでいる。
朝から蒸し暑い。エアコンを急速冷房にした。音を立てて冷風が吹き出してこもった空気が攪拌されていく。
うつ伏せになって煙草に火をつけた。腰をやや斜めにしたのは早くも勃起したからだ。坂崎も全裸である。
煙を大きく吸い込み吐き出すと頭がぼうっとなった。昨夜の乱行が思い出された。
(溺れた……哀しいほどに彩香に溺れた……)
自分を見失った。かつてない鮮烈な刺激。……そしてその想いは一夜明けても変わりはしない。高ぶりながら今彼女を見つめ、漲っている。
昨夜、コンドームをポケットに忍ばせて戻ると、彩香は布団に横になっていた。
「疲れたか?」
「ううん、だいじょうぶ」
「彩香、後悔してないか?」
「してないよ。だって伯父さんとしたんだもん」
この時坂崎の本心に思いやりはなかった。いくらドライとはいえ初体験を済ませたばかりの少女である。心と体を労わってあげるべきなのに欲望の触手が先へ先へと伸び続けていた。
「彩香、もう一度、きれいな体を見せてくれないか?」
彩香はきょとんとした表情をみせたものの、
「いいよ」
ためらうことなく起き上がるとシャツを脱ぎ、
「これも?」
パンティに手をかけて言った。
「うん……」
ナプキンを確認して、
「ちょっと出てる」
「いいよ」
その一連の動きに滞りはまるでない。
贅肉のない均整のとれた裸身に改めて魅せられ、美しさに身震いが起こった。
「きれいだ……」
「ふふ、嬉しい……」
彩香の手を取って引き寄せると、もう坂崎は突き進んでいた。抱き締め、重なっていった。
「あ……」
彩香はセックスを考えていなかっただろう。
「伯父さん……」
口に含んだ乳首のまろやかさ。この子の肉体は日に日に熟れていくだろう。だがいま、甘酸っぱい体がたまらない。
「気持ちいい」
彩香が吐息とともに上ずった声を出した。
「こんなきれいな体、見たことない」
「嬉しい」
「入れていいかい?いいかい?」
言いながら動きは次に移っていた。素早くゴムを着け、
「欲しいんだ、彩香」
「いいよ。入れて」
間を置かずに貫いた。
「うう……」
彩香は首筋に血管を浮き上がらせて踏ん張った。体は逃げなかった。
確かな挿入感がペニスをしっかりと包んでくる。
(これだ……)
一体感がひしひしと伝わって亀頭にまとわりついてくる。一度目は紅蓮の欲情に翻弄されて圧迫だけで極まったようなものだった。
(肉襞が感じられる……)
ゆっくり動き始め、狭い膣道をくぐり、引き抜き、また最奥まで押し入れる。
彩香は硬く口を閉じている。幼さの残るいたいけな顔が歪むのを見て心の痛みを感じないわけではなかったが、片隅に追いやって、昇り、走った。
「彩香、もうちょっと我慢して」
「いいよ、伯父さん、好きにして」
「気持ちいいよ、彩香」
「感じて、伯父さん」
「彩香も感じる?」
「うん……。奥まで入ってくるとすごく熱い」
「痛くない?」
「さっきより痛くない……」
半開きの唇がときおりパクパクと金魚みたいに動く。
「ああ、イキそうだ……イク」
坂崎が掠れた声を発すると彩香がしがみついてきた。
果ててもなお彼は彼女を離さなかった。離れたくなかった。自分も裸になるとあらゆる部分をその柔肌に擦りつけた。
彩香は彼の為すがままに身を委ねた。誘うとうつ伏せになり、四つん這いになり、彼の膝に乗ったりした。
どれだけ二人で絡み合っただろう。彩香は朦朧となり、坂崎は力尽きた格好で眠りに落ちていった。