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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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兎の宴 前編-4

「ねぇ、コーヒー、飲む?」
「ああ、飲みたいな。頼んでいいのかな?」

 ツキコはコクリと頷くと、食器棚から茶碗とお盆を取り出しに立ち上がる。
 長い黒髪がハラリと揺れて、白い太ももが艶かしく見えた。
 今この瞬間だけは、ツキコは俺の為だけのメイドという気がした。
 帰り道に、よく公園に寄って帰る。ツキコは人が居ない時、そこで俺にキスをねだる。
 俺が、ではなく彼女がそうしたがるのだ。
 ここ数日は文化祭の準備で忙しく一緒に帰れていないが、その前はキスをしながら、少しだけあの白い太ももに触れたりもした。
 ツキコは体をモジモジとさせて、小さな声を出したが、さほど抵抗はしなかった。
 ただ、さすがにそれ以上は俺もしていない。どこで誰が見ているか分かったものではないのだ。
 その緊張感と、感触を思い出した。今は、ツキコと二人きりだ。
 俺はすっと立ち上がると、コーヒーの準備をしている彼女の背後に近づく。
 そして、腰のあたりを背後から抱いてみた。

「あっ……! やっ、ここ、学校でしょう?」
「こないだは、公園でキスしてくれって、自分から言ったくせに」
「それは、だって……」

 ツキコはそう言いかけて、顔を少し朱に染めて、黙り込んだ。
 俺は彼女の腰を抱く力を強めた。それと反比例するように、ツキコの体から力が抜けたように思えた。
 
「俺が今、キスしたくなっちゃった」
「やだ、もう」
「なあ、いいだろう?」

 こういうスキンシップには、ツキコもそれなりに慣れてきたようだ。
 最初は恥ずかしがっていたが、最近は受け入れてくれるようになって、徐々に積極的にもなりつつある。
 顔をこちらに向かせると、既に瞳が潤んでいた。
 ツキコが俺に何かを期待すらしているような、そんな熱のこもった視線で俺を見ている。
 顔を近づけると、ツキコは目を瞑った。
 やがて唇が接触し、お互い動きを止めた。俺もツキコもお互いの温もりと感触を確かめ合っている。
 ずっとこうしていたいが、辛うじてゆっくりと唇を離していく。
 ツキコの瞳がさらに潤んで、息を軽く弾ませている。俺をじっと見つめていた。
 キスだけのつもりだったが、そんな目で見つめられたら、俺も変な気になってきてしまうではないか。
 俺は思わずツキコのワンピースの上から、胸の膨らみに手を添えた。
 ツキコの体がビクリと揺れた。


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