投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

二兎追う方法、教えますの最初へ 二兎追う方法、教えます 63 二兎追う方法、教えます 65 二兎追う方法、教えますの最後へ

兎の宴 前編-3

「サトウさんも、来るかしら?」
「会長は今は来ないだろう。美術室、賑わっていたから」

 ヨウコは、美術室で一人五百円の似顔絵をやっている。
 去年もやっていたのだが、その評判が良くて、今年も続けることになったらしい。
 ひっきりなしに人が訪れているので、相当な激務だろう。

 ヨウコは、今回の準備でも最も多忙であったかもしれない。
 プログラムやパンフレットなどのデザインを一人でやっていたからだ。
 それは、教師から直に頼まれたもので、ヨウコの芸術的なセンスを買ってのことらしい。
 基本的に面倒くさがりのヨウコにとっては、実に荷が重かったらしく、ぶつくさ愚痴をこぼしながら遅くまで学校に残って作業をしていたものだ。
 俺はそれを横目で見ながらも手伝いようが無いので、内心申し訳なく思っていた。
 しかしそういえば、最近忙しくて、ヨウコとは濃厚な接触がないな――――
 ヨウコは気まぐれであった。だから、濃厚な接触は基本的に彼女の気が向くのを待つしか無い。
 下手なことをして、機嫌を損ねたら元も子もない。
 ヨウコは大らかな性格をしているが、それでも彼女に気安くするのは避けた。
 肉体関係を持ったからといって、調子にのっていると思われたくもない。
 ふとかつて触れたヨウコのふくよかな体のラインが脳裏に蘇った。
 よくもまあ、あの体に触れられたものだ。思い返すだけで――――

「ちょっと、タムラ君、何かいやらしい顔してない?」
「は。いや、そんなことは……ああ、その服、似合っているよな」
「今さら、取ってつけたみたいに言って」
「本当さ。なんというか、普段そういう服着ないだろう? セクシーっていうか」
「嫌だ、いやらしい」

 ツキコはそう言ったが、本当に嫌そうにはしていなかった。
 小声で少し恥ずかしそうにしただけだ。
 もう既にもっと恥ずかしいことはしているのだが、それでもツキコはどこかウブなところがある。
 ヨウコはその逆だという気がしたが、俺はどちらも好きだった。
 我ながら節操が無いが、俺にとっては二人とも魅力的なのだ。


二兎追う方法、教えますの最初へ 二兎追う方法、教えます 63 二兎追う方法、教えます 65 二兎追う方法、教えますの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前