ホワイトライ-9
独奏者となる響の
その柔らかくも優しい指が
美しい音色を奏で始める
序曲は
幸福と祝福
晴れ渡る青空
限り無く広がる草原
無垢なる笑顔の少女は弾み
花は鮮やかなる色を付ける
太陽の光は
どこまでも照らし
光続く道を
どこまでも歩む
生の芽吹き
命の息吹きの
メヌエット
安らぎと癒しの
ハーモニー
しかし次第に訪れる
虚無と絶望の気配
そして突然律動は変わる
激しい運命と共に
喜びの時間は終わり
悲しみの時が流れる
青空は漆黒の闇となり
草原は暗黒の海となる
静かに眠る少女は沈み
花は奈落の底へと
堕ちて往く
孤独の影は
どこまでも続き
光無き道を
どこまでも彷徨う
死する命を
嘆き悲しむ
レクイエム
永遠の別れの
メロディー
切なき音は次第に弱まり
やがて無音の世界と化す
暫くの沈黙
結末の予感
だが
運命は唐突に鳴り響く
それは
高く清らかなる音
なだらかで
力強い旋律
失った少女が舞い降り
花は天使と戯れる
幻想の夢を
どこまでも信じ