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ホワイトライ
【悲恋 恋愛小説】

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ホワイトライ-8

―キィィィ―

「こっちこっち〜!」

「おい、勝手に入っていいのか?」

ここは夢の場所

「いいのいいの……ハイ、ここ立って!」

ここは夢が始まる場所

「あぁ、……ん?何それ??」
「読んで!」
「へ?」
「いいから読・ん・で!」

手に差し出すは小さな手紙

「分かったよ。……………汝、健やかなる時も、また悩める時も、生涯を伴にすることを誓いますか?」

希望をこめたパンドラの箱

「……誓います。…………汝、健やかなる時も、また悩める時も、生涯憶えていることを誓いますか?」

「沙奈……誓います!」

今となって誓えるのか
今だからこそ誓えるのか
生きていては実のらない
生きていては叶わない

「お兄ちゃん……ん〜ん!響!……愛しています!!妹としてではなく、一人の女として……」

「沙奈……俺も愛しているよ!!兄としてではなく……一人の男として……」

伝えられた禁断の言葉

そして犯される禁忌
愛し、交わる男と女

しかしそれは
神であろうと咎められない
誰であろうと止められない





―ブーーー―

「紳士淑女の皆様、ようこそお越し下さいました。…当初、妹様の御不運により一度は中止を検討しましたが、皆様の熱い要望によって響先生は見事に立ち直り、そして無事、演奏会を開ける様になりました事を、深く御礼申し上げます。…それでは、響先生の御登場です!どうぞ!」

拍手に包まれる会場
広いステージ
中央にあるピアノ
そこへ歩む響

マイクをそっと手に持てば
拍手は止み
会場は静けさを取り戻す

遠くには兄を見守る妹の姿
ただ真直ぐと
愛しき人を見つめている

「皆様、こんばんは。今夜はお集まり頂き、ありがとうございます。……………これから演奏する曲は、大切な我が妹の為の曲です。皆様どうか、皆様の大切な人を思い浮かべて聴いて下さい」


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