Portrait-26
―――グジュゥ・・・・・
「 あ・・・・・ 」
思わず小さな声を上げるセリスの唇は、そのままアウザーの唇によって塞がれ舌同士が絡まりあう。
―――クチュ・・・チュル・・・チュッ
アウザーは右手の指の動きを止めることなく、左手を横たわるセリスの背中に回し自分の方に引き寄せる。
それに応えるように、セリスもアウザーの分厚い褐色の背中に両手を這わせつつも、
視線はアウザーの肩口越しに正面の壁にかけられた“自らの肖像画”に向かっていた。
かつて画家によって描かれた情景が、
時と場所と相手を変えて
再現されようとしている。
まるで額縁の中からその情景そのものが飛び出してきたかのように。
―――ズ・・・ズ、ズニュ・・・・・・
「アッ!!・・・あ あ、アアッ!!」
右足が天井に向けて抱えあげられ、露になった下腹部越しにアウザーの肉棒がセリスの中に入ってきた時、
セリスはアウザーと舌を絡めていた唇から思わず歓喜の声をあげ、大きく背中を弓なりに反らせていた。
金髪が白いシーツの上に散らばり押し付けられ、
男の分厚い背中に思わず両手の爪が食い込んでいく。
先程まで視線の先にあった肖像画のことも夫エドガーのことも脳裏から吹き飛ばされたセリス。
これからアウザーが繰り出す愛技に身悶えるであろうセリスの脳裏に最後に浮かんだのは、
アウザーが密かにセリスに向けて出した手紙の文面だった――――
『王妃セリス様と共に、
貴女の“肖像画”を真に
“堪能”したいと思います。
あの絵に描かれたドレスと共にジドールの旅館○○○号室にお越しください。
私は左手に肖像画を持って馳せ参じましょう。
右手には貴女のお好きな
“青い薔薇”を持って―――――』
――― 完 ――――