Portrait-15
―――シュッ、シュッ、シュシュッ・・・・
―――クチュ・・・グチュ
「はぁ・・・ん・・・あ・・・・フゥ・・・」
セリスの腰がくねくねと動くたびに、
筆先は滑るようにキャンパスの上を動き、
それに連動する柄の振動がセリスの中を刺激し、
彼女は絶え間ないあえぎ声を上げ続けた。
「素晴らしい腰さばきですよ、セリス様。とても“絵筆を操る”のが初めてとは思えない・・・・」
背後から画家の感嘆した言葉が聞こえる。
しかし既に視界を封じられ意識が朦朧とするセリスには自分の足元にあるであろう作品を見ることもできず実感することもできない。
ただ言われるがまま動き、筆先から伝わる快感に身を震わせるだけだった。
その時、
―――ガチャ・・・・・
「 !!! 」
突然部屋の片隅から聞こえてきた金属音に、
視界塞がれていたセリスの身体は無意識に反応する。
思わず首をドアの方に動かした時、セリスはドアの方から室内に入ってくるもう1人の存在を察知していた。、
「ほう、いい頃合いだったようだな」
「いかがですか?セリス様の筆さばきは。
この筆遣い、素晴らしいとは思いませんか?」
「黄色の砂漠と青色の空か・・・悪くないな、展覧会なら金賞だよ」
「・・・あなたは、まさか」
セリスの足元にある作品を評価する男の声。
それはまさしく夫の友人にして、
この美術館の持ち主である男の声だった。