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これから
【青春 恋愛小説】

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これから-2

思わず、彼女に聞いてみたくなった。

「お前は、怖くないのか…?」
俺は怖い。将来が、真っ暗で何も見えないこれからが、とても怖いんだ。

「うん…怖いね」
彼女は俺の予想通りの答えを返してくれた。「だろ!?」

「だけど…わくわくもするよ」

結構長いこと話していたのだろう。近所の小学生たちが、列をつくって帰ってきている。彼女はそれを見ながら、ちょっと気恥ずかしそうに話し始めた。

「もしかしたら、将来私があの子たちを教えているかもしれない。もしかしたら、自分の好きな服を作ってキミに売っているかもしれない。もしかしたら、外国を旅しているかもしれない…そう考えてたら、わくわくしてきたの」

彼女の顔は、恥ずかしそうにしていながらも自信に溢れて、どこかすっきりとしていた。
そんな彼女をみて急に不安になる。俺は独りになってしまうのだろうか?
彼女はもう、これからに向かって歩こうとしているのに、俺は…。
「大丈夫。キミなら出来るよ」
「…っ!!出来るわけないだろう!俺はただ、いつまでも周りに文句を言っているだけで、本当はなんにも出来ないんだ!出来ないんだよ!」
「私は、キミがどれだけ悩んだか知ってるよ…。キミは私以上に悩んで、迷ったんだから。私だって歩き出せるんだから、キミも歩き出せるよ」

なんて、格好悪いんだろう。自分の悪いところを指摘されて取り乱す。そこらのガキとなんにも変わらない。

「誰だって最初はなにも出来ないよ。悩んで、迷って、苦しんで…勿論楽しいこともある。そうやって人は成長するんだよ」
彼女の言葉は何処かぎこちなく、だけど、真っ直ぐで。素直な気持ちで…。俺の心に染み渡っていく。

「今から将来なんて分かるわけないじゃん。だから、捜そうよ。二人で」
「二人で?」
「そ、二人で!」
なんか勝手に俺は入っているらしい。俺の意見も聞いてほしいものだ。
「…俺でも、出来るのかな?」
「大丈夫、怖がらなくていいんだよ。キミがこれからに向かって経験することは、確実にキミを大きくしてくれる!」

俺一人じゃとても抜け出せなかったろう、不毛な悩み。始まる前から何を俺は悩んでいたんだ。まだなにも始まっちゃいない、これからなんだ。

今まで心のなかに巣食っていた気持ちが晴れていく。ここまで清々しくなれたのは久しぶりだ。

「一人が辛いときは私が慰めてあげる!いいでしょ?」
「いらん。なんかお前に慰められるのは気が悪い」
「なっ…!ようやくいつもみたいになったじゃん?キミはその方がキミらしいよ」

隣で笑う彼女に感謝する。俺一人じゃ無理だったろう。君が俺に道を示してくれたんだ。

「んじゃ、帰るか。学校まで荷物取りに行かないとな」
「なんかふっきれたって感じだね。一緒に頑張ろうよ」

喋り続ける彼女を見ながら思う。
これからがどうなるかなんて、誰も分からないだろうけど。隣にいる彼女と、これからも一緒にいられたら…。
「どうしたの?急に黙っちゃって。私なんかおかしいこと言った?」
「いや…お前可愛いなぁと思ってさ」



人は誰だって悩み、迷うときがある。だけどそれを乗り越えた時、人はとっても強くなれるというお話…。


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