記-6
途中の駅で、数人の乗客が入れ替わる。
余裕のあった座席も、駅に停まるたびに、だんだんと埋まっていく。
自分の両隣のスペースにも、いよいよ、という気配がしてきた。
できれば、若い女性が座ってくれないものかと、淡い期待をしてしまうのも仕方がない。
こんな大事な時に、自分は一体どんな神経をしているのだろうか。
そうこうしているうちに、電車はターミナル駅に着いた。
自分の両隣の座席は、クーラーのおかげでよく冷えていた。
結局、誰も座らなかったというわけである。