記-4 家を出たところで、クマゼミの声を聴いていると、黒い装いのタクシーが寄ってきた。 事前に電話をしておいたのだ。 早朝に利用するのは初めてだったので、料金のことが少し気にかかる。 高齢のドライバーの愛想は良かった。 最寄りの駅名を告げると、ものの数分で到着した。 見上げた空は、すこぶる快晴である。 向こうの空模様はどんなふうだろうかと、しばし思いを馳せる。