記-21 新着メールをきっかけに、私はふたたびデッキへ向かった。 電話口で、妻の体をいたわり、生まれたばかりの娘の様子を訊いた。 どんな名前がいいのかという、命名の最終確認も交わした。 誰にでも愛される名前──。 欲を言えば、そういうことになる。 なるほど、娘を持つ親の気持ちとは、こういうものなんだ──。 まだ見ぬ娘の陰に、なぜだか、あの女の子のことが浮かぶ。