記-14 右前方から、乗務員がやって来た。 前から順番に、切符をチェックしている様子である。 私は自分の切符を手にしつつ、さっき電話できなかった相手に、出産報告のメールを打つ。 隣の彼女はというと、テーブルに私物を乗せたまま、しきりにスマートフォンをいじっている。 私は未だに、二つ折りの携帯電話である。 端末同様、自分自身も古いタイプの人間なのだろうか。