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仄か
【その他 官能小説】

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「乗車券を拝見します」

 右利きの私は、自然と右手で切符を差し出した。

 ふたたび右手で受け取ると、次は彼女の番である。

「お願いします」

 礼儀正しく、彼女はそう言った。

 今時の若者とは思えない、そんな振る舞いが、彼女の内面を映し出す鏡だと知る。

 しかも、毎日欠かさず、よく磨かれた鏡である。

 日本の未来も、そんなに捨てたものではないなと思った。


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