記-13
財布から切符を取り出して、もう一度、指定席の番号を確かめてみる。
それを頭で復唱しながら通路を行くと、やはり、先ほどの場所に戻ってきた。
窓側に座る彼女も、間違いなく同一人物である。
ミニスカートから伸びる肌色の脚線が視界に入ると、私は顔を背けて、彼女の隣に座った。
もともと、紳士を装えるだけの器がない自分は、はやくもペースを崩されてしまった。
背もたれに体をあずけると、爪先まで閉じられた彼女の両脚が、どうしても見えてしまう。
自分の弱さを思い知るには、彼女のそれは十分過ぎた。