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【青春 恋愛小説】

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14-4

さして気にも留めず仕事をこなす。

狭い店内では物理的に距離が近いので、当然隣の会話も聞こえる。




元が先の二人組の後ろを通った時、男が呼んだ名前が耳に入った。




「伊織ちゃん」




伊織。

いおり。

聞いたことある。

学校の連れではない。美帆の友達でもない。




(.............あっ)




思い出した。

暁生の彼女だ。




暁生の彼女?
ではいま伊織の隣にいる男は。




見る限り、とても親密そうだ。
距離も近いし、ボディタッチも多い。

はた目は、カップルだ。




おかしい。
暁生の彼女じゃないのか。




前に一度、暁生の彼女はビッチみたいだという旨の、と言うかそのままの発言をしたことがある。




悪い予感もするが、しかしこの女性が本人とも限らない。




暁生の今の彼女にも、たった一度、それも挨拶程度に会ったことしかない。

そもそも、同姓同名で顔まで似ている人間なんてこの広い地球に一体何人いると思っている。




同姓同名で顔まで似ている人間。
且つ、三茶で。

元は、こいつは本人だなと思った。





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