投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゆうき!
【青春 恋愛小説】

ゆうき!の最初へ ゆうき! 55 ゆうき! 57 ゆうき!の最後へ

第九話(最終話)-7

「優紀。俺の名前を言ってみろ」

「? 魁さん?」

不思議顔で首を傾げる優紀。

「呼び捨てで、だ」

「呼び捨て……」

「あるいは、もっと砕けたしゃべり方をしてほしい。俺に対してだけでいいから」

「ヘイユー!」

「だからっていきなり外国人みたいになるな」

「で、でも、『魁』と呼び捨てにするのは抵抗がありますっ」

そんなものか。
俺なんかは年上だろうと、仲が良ければ呼び捨てにするんだけど。

「じゃあこうしよう。俺のことを呼び捨てにしなければ、毎晩寝ている優紀に悪戯する」

「もしもし警察ですか」

「ごめんなさい嘘です」

彼氏に手厳しい彼女だった。

「その、いずれ、に、肉体的な関係になったとして、寝込みを襲ったりしたら、許しませんからねっ」

「紳士の俺をナメるな」

なんたって俺は優紀が同居してからの数日、一度も優紀にいかがわしいことはしていないんだからな。

「紳士の部屋にエロ本があるんですか?」

「お、男だからな」

見つからないように隠しておいたというのに、一体どこをどうして見つかったのだ!?

「『貧乳女子高生』」

「ぐはっ」

「『制服クラブ』」

「ぐはっ」

「HENTAIですね」

「男だから仕方ないだろー!」

開き直った。
……しょうがないじゃん。

「前に言ったろ。優紀に対して下心はあるって」

「そ、そうですか」

「優紀をおかずにしたこともある」

「それは聞きたくなかった!」

こんなぐだぐたな会話をしている間に、エンディング。

「ほ、ほんとにこのまま終わるつもりなんですか?」

「ああ。最後に一言、勇者の方々にどうぞ」

「え?えっと、ありがとうございました……?」

「では俺からも」

人はいつか死ぬ。
不死ではないのだから、病気なり寿命なりで、必ずいつか命が尽きる。

だから!

「俺と優紀の物語は、デッドエンドだ」


(最終話 完)


ゆうき!の最初へ ゆうき! 55 ゆうき! 57 ゆうき!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前