投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゆうき!
【青春 恋愛小説】

ゆうき!の最初へ ゆうき! 54 ゆうき! 56 ゆうき!の最後へ

第九話(最終話)-6

居場所がない。
クラスに私の席はなく、友達もいない。

「っ……!」

堪えきれなくなって、泣きたくなって、それでもなんとか抑えて、私は教室を飛び出しました。
息を切らせ、走りながら涙が溢れてきて、着いた場所が校舎の屋上でした。
一月の後、魁さんと出会う屋上。
フェンスから身を乗り出そうとし、思いとどまる。

「ただで、死んでやるもんか……」

どうせ死ぬなら、クラスの連中の目の前で死んでやる。
そう思い、決行日を文化祭にしたのでした。
うちのクラスは外で屋台をやるらしいので、屋上から飛び下りればイヤでも目につくのです。
結果はご存知の通り、魁さんによって『引き延ばされて』しまいましたが。

「お母さん。引っ越しがしたいです」

魁さんと出会った後、私はお母さんにそうお願いしました。

「どうしたの?学校でイヤなことでもあった?」

「気になる人が、できました。他校の人みたいで、私のことを『幸せにしてやる』みたいです」

最初お母さんはその人(もちろん魁さん)のことを警戒していましたが、家に連れてくるようになって警戒心がなくなったそうです。

「ちょっとバカっぽいけど、いい子そうね」

魁さんを初めて家に連れてきたときの、お母さんの感想。
ちなみにこれ、魁さんがいる前で言ってました。
そんなわけで、友達がいない私のことを考慮してか、魁さんの高校に転校することを許してくれました(編入制度はないみたいです)。
魁さんの部屋に居候することになったのは、私の意思ではなくお母さんの企みだったりします。
余談程度に言うと、お父さんは「うむ」としか言っていませんでした。
ちゃんちゃん。


    ***


「というわけです」

ふむ。いじめか……。
やはり俺の考えは、あながち間違ってはいなかったか。

「優紀。今はいじめられていないだろうな」

「魁さんがいつも邪魔なほどに隣にいますからね」

邪魔だったの!?
酷い言い草だ。

「魁さんと付き合ってから、『結城さんって物好きだよね』と言われたことはあります」

「それ今関係ないよな」

なんでいちいち俺の精神をエグってくるんだ。


ゆうき!の最初へ ゆうき! 54 ゆうき! 56 ゆうき!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前