第四話-5
「と見せかけてベッド」
一気にエロい意味になっちゃった!?
「死んだわけではないんですね?」
「うん。健在」
「少し焦りました……」
「そして倦怠」
「倦怠期なんですね……」
「ご飯まだー?ケンタッキーでいいよ」
そういえばさっきからご飯ご飯言ってたっけ。
ケンタッキーくらいなら買ってあげてもいいんだけど、何分一睡もしていないから眠いんだよな。
「ハーモニーちゃん。下に行こうか」
「下?東京アンダーグラウンド?」
「風とか重力を扱えちゃう少年少女がいそうな世界はないよ」
そもそもここは東京じゃないし。
「一階。ご飯があるよ」
いや、まだないだろうけど。
父さんと観音が帰ってきてないからな。
「ふと思ったんですけど、魁さんの家って何気に裕福ですよね」
唐突な質問。
「そうか?別に普通じゃないか?」
「普通の家庭に20匹も動物はいません。それに部屋数も。六部屋もありますし」
母さんと父さんの寝室。
俺と、昨日からは優紀の部屋。
今は亡き(死んでないけど)杏子の部屋。
観音が使っている部屋。
動物たちに占領されている動物部屋。
そして空き室がひとつ。
「元々は三人家族なのに、どうして六部屋もあるんですか?」
「どうしてって言われてもな」
当たり前だけど、生まれた時からこの家に住んでいた。
だから部屋数を不思議に思ったことがないんだよなぁ。
「ちなみに魁さん。お小遣いはいくら貰ってますか?」
「え?月に二万だけど」
「富裕層ですね……」
そうか?
月に二万って普通だと思うけど。
「カイ、お金持ち!」
「そうですね」
「金たま持ち!」
「女の子がそんなこと言ったらダメですよ」
「ゴールデンボール!」
「ダメですって」
「七つ集めると願いが叶う!」
「叶いません!集めなくてもいいです!」
というか七つって奇数じゃん。こえーよ。
「いでよ!チンロン!」
「誰かハーモニーちゃんを止めてください!」
まるで暴走機関車だな。
***
ハーモニーちゃんを母さんと優紀に任せ、まだ夕方だというのに俺は眠りについた。
「う、ん……」
そして起きたのは、驚くべきことに翌日の正午だった。
十二時間以上も眠っていたことになる。