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ゆうき!
【青春 恋愛小説】

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第四話-6

昨日の夕飯も今日の朝飯も食べ損なってしまった。
土曜日。学校は休み。

「んー……みんな出かけてるのか」

居間に下りてみると、会社勤めの父さんはもちろん、専業主婦の母さん、それから優紀やハーモニーちゃん、観音の姿がなかった。
そこでようやく携帯電話のディスプレイを確認する。

不在着信:1件
受信メール:26件

受信メールの一番新しい、今朝の九時四十五分に受信したものを確認する。
優紀からのものだった。

みんなで遊園地に遊びに行ってきますね

悲しいことに、それ以外のメールは全て迷惑メールだった。

「遊園地に行ったのか……うん?」

不在着信の相手を確認すると、なんとも珍しくそれは杏子からのもの。
あいつから電話とは珍しい。
出ない可能性のほうが圧倒的に高いけれど、ダメ元で電話してみよう。

『にゃっほー!』

出た。
出てしまった。
優紀で言うところのにゃんさん。
本名・星渡杏子。
猫のように自由人な放浪人である。

「電話くれたろ。どうした」

ちなみに着信があったのは昨日の夜になっていた。
今さら折り返しても遅いんだけど。

『いやー実はトラブっちゃてさ。もう解決はしたんだけど、いかんせん絶体絶命だったからさー』

絶体絶命って。
杏子が言う絶体絶命とは、大袈裟なんかではなくそのまんまの意味で命のピンチということになる。

「今どこにいるんだ?」

『あにゃたの後ろだよ!ぎゃぁぁぁぁぁ!?』

ピッ!
俺は一方的に通話を終えた。
いつもどおりやかましく、いつもどおりトラブルに首を突っ込んでいるらしいな。

「腹減った……」

朝飯は用意されていなかったので、仕方なくトーストを焼く。
一枚や二枚食べたところで満杯にはならないだろうけど、まぁ何も腹に入れないよりはマシだ。
トーストと言えば、ああこれはくだらない雑学なんだけど。
トーストと言えば、昔のイギリスでは黒光りする生き物(あえて名前は言わない)をトーストにジャムのように塗って、むしゃむしゃと食べていたとかなんとか。

「…………」

なんでこれからトーストを食べるのに、そんな意味もない、食欲が失せるような雑学を思い出してるんだろう。


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