第二話-6
傍芽との関係を説明し終えると、彼女・結城優紀はそう言った。
夕食後。俺の部屋でのこと。
「にゃんさんもそれっぽいですし」
「頼むからあいつを『それっぽい』とかまるで付き合っていたみたいに言うな」
「例の許嫁も、実は親が決めたんじゃんなくて、既にフラグが立ってたんじゃないんですか?」
ううむ。それは否定できない。
優紀に言ったように「俺が幸せにしてやる」と言っていたのは、親曰く小学校低学年の頃かららしい。
それがイコールで将来結婚と傍芽のように結びついてもおかしくはないからな。
「しかし安心しろ。俺は優紀一筋だ」
断言してもいい。
仮にこれからも傍芽のようなはた迷惑な女の子が現れたとしても、俺は絶体に彼女たちの愛には屈しない!
「彼女になったつもりはありませんけど」
「優紀。そういう冗談はそろそろやめにしよう」
その手の冗談はその場限りの冗談としてつくのが吉だ。
「冗談ではないですよ?」
「え……いやいや。はっはっはっ、今までの言動を思い出すに、どう考えても優紀は俺に好意があるだろう」
「まぁ、好意はありますけど。あなたの言葉を借りるなら『友達』としての好意なんですよ?」
マジで?
恋人だと思ってたのって俺だけ?
散々あえて名前は言わず『彼女』と連呼していたのに、当の本人は俺のこと友達だと思ってたの?
俺ただの痛い人じゃん……。
「仮にも恋愛小説で、いきなり彼女ができるわけないじゃないですか」
それはそうだけど。
そんなメタなこと言われても困る。
「将来的に俺と結婚とか」
「ありません」
断言された。
「あり得ないとまでは言いませんけどね」
なるほど望みはあるというわけか。
「あ、ありえないんだからねっ」
ツンデレ!?
ヤンチャデレじゃなかったの!?
「さて。話もつきました。尽きましたね」
「いや、話せと言われれば何でも話せるけど」
「とにかく。そろそろ二話目も終わりに近いので、雑学をどうぞ」
無理矢理なうえに無茶振りだ!
いきなり雑学を言えと言われてもな。
「何かないんですか?新キャラの六郷さんのこととかで」
「だからそういうメタなことは……」
うん?
待てよ。六郷?六郷傍芽?