『graduation〜白い花〜』-2
彼女のことを知りたくて、知りたくて仕方がなくなった。
俺は事あるごとに彼女に話し掛けるようになり、
「都築。」
と彼女は俺の事を呼ぶようになるまで時間はそうかからなかった。
「愛してるよ」
冗談で雪見は俺にお願いをする時、手を組んでよくそう笑った。
その度に俺はドギマギしたが、
「そんなことばっか言ってるといつか痛い目にあうよ」
と、親友の顔をした。
しかし親友のフリをすればするほど、俺は雪見を好きになった。
彼女の参謀はいつも俺で、何かあれば彼女は俺のところに来た。
「都築どうしよう。ってかどうにかして」
と。
だから知っていた。
彼女がいかに多くの男から告白され、それをバシバシ切っているかを。
「どうもさ、ずっと友達だと思っていた男の人から告白されると、自分の価値がいっきに下がった気がする。」
彼女の悩みはそれだった。
彼女が友達だと思っている男友達に告白され、友情が終る為、どんどん男友達が減っていくのだ。
「うまく説明できないけど、告白されるとさ、お前は友人としては価値がないって言われた気がするんだ。優しくしてくれたのも、将来の夢とか語ってくれたのも、私を友達として認めてくれていたからじゃないんだって悲しくなる。」
王様の悩み。贅沢すぎる。
けど、そんなことを言う雪見に、「好きだ」なんて言えなかった。
でも辛くて。
他の男から告白された話を聞くたびに心が潰れていくようで、何度もこの距離を壊したかった。
すぐ近くにある手を握り締めて、そのまま引き寄せて抱きしめてしまいたかった。
嫉妬という字が女偏なのは間違いだ。
男の方が絶対に嫉妬する。
俺は彼女に近づく全ての男に嫉妬した。
なのに彼女は俺の気持ちに気付きもせず、よく分からない奴と付き合うような真似をしてはすぐ別れる、ということを繰り返していた。
時々、もうやめてしまいたくて、距離を置こうとする。
ところがそうすると、必ず奇跡が起こってしまうのだ。
大教室の一番後ろから、前の方に座る彼女を見つけてしまった途端、彼女が振り向いて、俺の視線に気付き、手を振ってくれるとか。
そんな小さなものに支えられ、俺は2年間を過ごした。
3年目には、もう心が擦り切れて耐えられなかった。
そんな時、亜紀に会った。