朱炎の記憶-2
「あたしも、迂闊だったわ。向かいに中学生がいるなんてね。フフ、ここは九割はお年寄りだから、つい無防備になってしまって」
ハルミは俺に麦茶を出すと、サバサバとした口調でそのように言った。
ハルミの自慰を盗撮した画像で脅そうと思っていたのだが、彼女は俺に全く怯んだ様子を見せないので、俺は面食らってしまう。
脅すのは、無論ヤリたいからだ。
年頃の男にオナニーなんか見せつけている無神経さが許せなかった。
そう思いながら、俺も何度となくヌいた。
今時はネットを調べればそんな画像が出てくるものだが、生で見るのはワケが違う。
ハルミは決まった時間に自慰をしていて、俺はその時間にこっそりと部屋を忍び見た。
彼女は指でするだけでは飽きたらず、道具まで使って行為に及んでいた。
スケベすぎる……そんなにヤリたいんなら、俺がやってやる。
俺はそう思い、ハルミの行為を盗撮したのだ。
「ごめんねぇ? おばさんの変なもの見せちゃってさ、これから気をつけるから許してよ、ね?」
ハルミは手を合わせて、いたずらっぽく俺に謝る。
少し険のある眼を申し訳なさそうにつぶって、ぽってりと大きめの真っ赤な唇から、ごめんねという言葉が繰り返された。
何か計画と違った。ハルミの俺を包み込むような優しさに参ってしまいそうになる。
しかし、俺は気力を振り絞って、脅す路線を強行した。
「じゃ、じゃあ、あの、ハダカ、見せてくださいよ」
「ハダカぁ? フフ、嫌よ。それに、あたしのハダカはもう見たんでしょう?」
「……近くで、見たいです」
「やぁだ。若者に近くから見られるなんて」
「でも、それなら、この画像は」
「それは、困ったわねぇ。じゃあ、キミがまずハダカになんなさいよ。そうしたら、あたしも服脱いであげる。あたしだけハダカになるなんて、嫌だわ」
ハルミは余裕たっぷりに言い放つ。
何故俺がまず裸にならなければならないのか、意味がわからない。
あまりの予想外の展開に、俺がしばし硬直していると、ハルミがいつの間にか俺の隣に座り込んで言った。