ヤキモチヨウスケ-7
「よ、陽介、あたし重いから降ろして!」
「平気平気。男の力なめんな、ほら」
「ひゃあっ!」
陽介はそう言って、あたしを抱き抱えた状態で屈伸するもんだから、落ちるんじゃないかと怖くなって咄嗟に彼の首に腕をまわした。
「もう、落ちるかと思った! 怖いからもう降ろして」
「やだ」
「またそうやってふざける」
「ベッドの上なら降ろしてやる」
そう言う陽介の顔は、何かを企んでいるような表情。
明らかにヤラシイことをしようとしているつもりだろう。
「……エッチはなしだからね」
だからあたしはそう釘をさすと、突然真剣な顔をこちらに向けた。
「アイツにヤられたまんまじゃ嫌なんだよ」
「陽介……?」
「お前は自分ばかりが妬いてるような言い方してるけど、俺だってかなり妬いてるんだぜ? 俺は羽衣と最後の一線は越えてねえし、くるみに対してだって、昔みたいに最後までヤらなかった。
……けど、お前はアイツと最後までヤッちまったんだろ?」
あたしの身体を抱えるその手にグッと力が込められて、あたしはドキッと胸が締め付けられる。
陽介がやきもち妬くなんて……。
彼の顔をマジマジ見ていたら、彼は少し怖い顔して再びあたしを見下ろしてきた。
「アイツと何回ヤった?」
「え、あの……」
「正直に言えよ。俺は全部正直に言ったぞ」
それを言われちゃうと、何も反論できない。
陽介はあたしが答えない限り降ろさないつもりなのか、ベッドのそばまで歩いて来て、立ち止まったまま。
確かに陽介にばかり言わせたのはフェアじゃないけど、顔を見て答える勇気は出せなかったから、あたしは陽介の耳元でそっと答えを申告した。
「ふーん……」
少しトーンの下がった声にびびってしまう。
「陽介……怒ってる?」
「メチャクチャ怒ってる……って言いてえけど、そうなったのは俺が原因だからな。だから怒らねえよ。……でもな」
上目遣いで彼を伺うと、陽介はニッと笑ってあたしをベッドに降ろした。
そして、あたしに覆い被さった陽介は親指であたしの唇をそっとなぞった。
あまりに優しいその動きにゾクッと背中が粟立ち、身体がすくむ。
そんなあたしを見下ろした陽介は、
「……アイツが抱いた跡、全部消してやるから」
と、フッと笑ってからあたしにキスをしてきた。