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Betula grossa〜出逢い〜
【ラブコメ 官能小説】

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Betula grossa〜出逢い〜-2

梓さんと出逢ったのは、一昨年..俺が高校一年の時だった。交通事故で足を怪我して、松葉杖でリハビリを兼ねて散歩している時だった。マンションの近くの幹線道路の歩道を歩いていたのだが、乱雑に止められている自転車が歩道を塞いでいた。自動車の交通量が多いので、車道に出るのは躊躇われた。仕方なく自転車をずらしていると
「なにをしているんだ?少年!」
いきなり女性に声をかけられた。俺は一瞬その女性の顔を見て、ムッとしながらも自転車に手を伸ばした。
「見れば解るでしょ!っていう顔をしているな!」
「!!!!!」
顔を女性の方に向けようとした時、バランスを崩してしまい体を支えようとして自転車にぶつかって、自転車が将棋倒しになってしまった。
「あぁあ..何やってんだか....」
呆れたように話す女性に怒りを覚えた俺は文句を言おうとした。
「体が不自由な自分が困っているんだから少しは手伝ってくれてもいいだろう!って言いたそうだな!」
「えっ!?」
俺は自分の気持ちを言い当てられて驚いた。
「少年が怪我をしているのは見れば解る。どうして怪我をしたのか私は知らない!」
「!!!!!」
「もしかしたら、怪我をした原因に同情される部分があるのかもしれないが、私には関係ない事だ!」
「!!!」
「だけど困っているのは見れば解る!だったらどうして欲しいか何故言わない?私は少年じゃないから何をして欲しいのか解らない!喋れるんだろう?本当に困っているんなら頼めよな!」
俺はこの女性の言葉がこたえた....同情されたくない!なんて思いながら、困った事があったら、手助けをしてもらえる事が当たり前のように思っていた....
「すみません..自転車をズラすのを手伝ってもらえませんか?」
「いいよ!」
その女性は笑顔で自転車を片付けるのを手伝ってくれた。
「ありがとうございました!」
自転車を片づけ終えた後、頭を下げる俺に
「お礼なんかいいよ!たいした事してないんだから!」
そう言って女性は歩き去って行った。
その日の夕方、部屋のチャイムが鳴った。
「ハーイ!どちら様ですか?」
ドアを開けずに声をかけると
「今度、上に越して来ました城崎と申します。」
慌ててドアを開けると、昼間の女性が立っていた。
「あっ!」
女性と俺は同時に声をあげた。
「どうしたの?梓!お知り合い?」
横から女性の両親と思われる二人が顔を出した。
「いえ....昼間にお会いしたので....」
俺がそう答えると
「また何かご迷惑をおかけしたのではありませんか?」
「ちょっと!お父さん何言い出すの!」
「何言ってるの?あなたのドジの後始末をどれだけやらされたか....」
「お母さんまで....引っ越しの挨拶で娘の恥をさらさなくても....」
女性はため息をついていた。
「大丈夫ですよ!俺が困っているのを助けていただいたんです。」
「ならいいんですけど....」
(両親にこう思われているこの人って....さっきはしっかりした人に見えたけど....)
「少年!今、良からぬ事を考えていたでしょ!」
そう言って俺の顔を睨んだ。返答に窮した俺は
「葛城純といいます。両親と暮らしていますが、両親は今不在で....」
「うまく逃げたな....」
小声で呟いた女性を
「梓!」
母親がたしなめていた。
それから話しをするようになり、俺は名前で「梓さん」と呼ぶようになった。梓さんはずっと「少年」のままだが....梓さんは七歳年上なのだがそれを感じない....それを言うと、「どうせ私はドジで頼りないですよ!」そう言って拗ねてしまいそうなので、口には出来ないが....年齢差と異性を感じない友人のような気がしていた。




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