光の風-8
「どうした?」
目が合うと顔を赤くしてリュナはうつむいた。軽く呆れたようにため息をつき、リュナの頭をぽんぽんと叩いてやる。そしてまた紅茶に意識を戻す。その行動から、リュナはひとつ確信した。顔をゆっくりあげ、カルサに問い掛ける。
「カルサ…私のこと好きなの?」
リュナのいきなりの問い掛けに思わずカルサは紅茶を吹き出した。
「ぶっ!!な、なんだ?!いきなり何言いだすんだよ!?」
カルサの動揺なんかお構いなく、身体ごと追い詰めていく。
「ね、答えて。私のこと好きなの?」
ずいずいとソファーの端に追いやられ、逃げ場がなくなったカルサに詰め寄っていく。さっきとは正反対の態勢だった。
じりじりじりじりと、好きかどうかを絶え間なく聞かれ、ついに観念したのか、リュナを見ずに顔を赤くしながら呟いた。
「…多分。」
その言葉を聞き逃すはずがなかった。リュナは黙ったまま、次に続きそうな彼の言葉を待った。
「…多分、オレは男としてリュナが好きだと思うよ。分からないんだ…好きかどうかなんて。今までそんなの必要なかったから。」
自分の中の気持ちを探して言葉にするのに必死なのか、カルサはリュナを見ずに真っ赤な顔で話を続ける。そんなカルサをじっと見ていた。
「…見るなって。」
恥ずかしくなって、左手でリュナの頭をうつむかせた。リュナはハニカミながらカルサを見ている。
「カルサ…?」
「なんだよ。」
左手をゆるめる。リュナは頭を直し、カルサの懐にもぐりこんだ。完全に油断しきっているカルサに向けてウィンクしながら諭す。
「恋だよ、恋!」
途端カルサは真っ赤になり、リュナの頭をわしわしとかきまぜた。
「ばっ…うるせぇ!」
「きゃあ〜☆」
カルサは立ち上がり、恥ずかしさのあまり去ろうとするがリュナの声に止められた。
「カルサ、好きよ!」
「うるせぇな、わかってるよ!」
「ありがとう、大好き☆」
「…お前、オレに襲われても知らねぇからな!」
カルサの照れ隠しの言葉にリュナは嬉しくて仕方がなかった。
この二人が結ばれるのは…今夜、案外いますぐかもしれない。