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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈黒竜篇〉-1

 果てしなく広がる暗闇の中にリュナはいた。

 辺りを見回しても暗闇だけ。唯一の光は自分、その光さえもぼやけてしまう程闇は深かった。

 今自分がどこにいるのか、どこが上か下かも分からない世界。ただ闇だけが存在している。

《必ず…捜し出す…》

「誰…?」

深い闇の中で囁くように声がする。

辺りを見回しても声の主は見えない。迫りくるような取り残されるような…深い闇の威力にリュナは引き込まれそうになり思わず身を縮める。

《どこだ…どこにいる?》

「誰なの…っ?」

 リュナの怯える声は届かない。低く響く男の声は少しずつ近づいている錯覚さえ起きた。

 囁くように小さい声だが言葉には力が感じられた。何者にも揺るがない、絶対的な威力が言葉と共に近づいている。

《必ず…見つけだす》


「!!?」

引き戻されるようにリュナは目を覚ました。明るい日差しに包まれ、鳥たちのさえずりが聞こえる。

 起き上がることもできず放心状態のように天井を見上げていた。

こんこん

「リュナ様?お食事の用意ができております。お持ちいたしましょうか?」

女官の声が響く。リュナは意識をそっちに向けるがなかなか返事をしようとしない。

ここは光の中、しかしあの闇の中で味わった孤独と恐怖は消えはしなかった。ゆっくりと起き上がり、外にいる女官に声をかける。

「ありがとう、すぐに行きます。」




「またあの夢を見たのか?」

朝食もとり終わり、リュナは今朝がた起きた出来事をカルサに伝えていた。バルコニーから見下ろす中庭は立派なもので、そこだけ世界が違って見える。

「うん…ここ最近よくみる夢。声はだんだん近づいてきてるみたいで。」

 カルサにすがるようにリュナは呟いた。

「…何かあるのか分からないが、用心しておかないとな。」

カルサの言葉を聞き思わずリュナは身を縮める。その仕草をカルサは見逃すはずがなかった。ゆっくりと近付き優しく抱きしめる。

「大丈夫だ。そう心配する必要もないと思うが…。」

「ええ…そうよね。」


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