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ひとしずくの排卵
【その他 官能小説】

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-1

乳首と唇はおなじ色に染まっている。
だとしたら春子の女々は今、どんな色をしているのだろうか──。

 紳一は春子の片脚を抱き寄せて、すねから指先までを舐め上げた。
 そして春子が喘ぐのを見届けてから手足を組み合わせ、春子の下半身をひっくり返した。

 そこにだけ肌の盛り上がりがあり、二重瞼のようにくっきりと皺をつくっている。
 紳一は股間を勃起させて、その花を満開にしようと腰を近づけた。

 春子は恥じらっていた。浴衣と帯が敷き布団のように広がり、その上で乙女の花を咲かせている。
 何があっても拒まないつもりで、ゆるめに脚を開いていく。体はとても熱かった。

このままでは春子に子どもを産ませてしまうかもしれない。
それがわかっていても、どうにも歯止めが利かないのだ。
しばらくは色恋とは縁遠く暮らしていたのに、いちばん近くに恋しい人がいた──。

「春子」

 紳一は娘の名を呼び、膣の浅くに指を挿入させた。

「ああっ……あふっ……」

 春子のはじけるような肌が揺れ、喘ぎ声が体を越えていく。

「お父さあん……」

 春子の深くまで入れていくと、指の根元に愛液輪ができていた。
 関節の太い指を休めることなく、二本目の指を入れていく。

 春子の口が、「あ」と「う」のかたちをくり返して、声もなく喘いでいる。
 春子の股から、しょっぱい雨が降っていた。

 そうして二人は立ち上がり、春子が柱にすがって耳をあてる。
 そのくびれを紳一が後ろから抱え、しっかりと腰を打ちつけた。

 小さな天女が羽衣を脱ぎ落とす頃、二人の結合は一心不乱なものになっていた。
 父と娘のつなぎ目から卑猥な音が聞こえる。
 ねっとりと絡み合い、水と水とが混ざっている、そんな音だ。

 体中から火花が散っている。
 ばちん、ばちん、と肉体と肉体とがぶつかり合う音。
 春子の膣が紳一の性具を、ねっちょ、ねっちょ、としごく音。
 そして、それらをかき消す太鼓の音が、どどん、どどん、と外から聞こえてきた。

 暑気払いの太鼓打ちの一行が、家のおもてのほうを通り過ぎていく。
 二人はつながったまま体を入れ替え、脚を組み替え、太鼓の音に気持ちを高めていくのである。

 紳一が力いっぱいに春子を突けば、がたがたと障子戸が軋んだ。
 春子は新しい感覚におそわれていた。
 耳と鼻の通りが良くなり、今までになく声を絞って呻いた。

 そしてとうとう、二人が愛し合ったあかしを、紳一が春子の中に吐き出した。
 一滴たりとも残さず、精液が膣内を満たしていくのだった。


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