兎の決意-9
「あの、本当に――俺で、いいのか?」
「だって、他の人とこういうことするのは、考えられないから」
ぐっとくる一言だった。
またツキコにキスをしようと顔をよせるが、彼女の掛けている眼鏡が少し気になった。
「眼鏡、掛けたままで?」
「取ったら、あなたの顔が見えなくなってしまうから、このままでいい?」
返事をする代わりに、そのままキスをする。
そして、布団に手を入れて、滑らかなツキコの腹部をさすった。
ツキコは軽く息を吐くような仕草をする。
こんな時に比べるのはなんだが、ヨウコの肌の感触とはかなり違うものだと思った。
ヨウコの肌は肉感的で、手に吸い付くような感覚がある。
ツキコは、出来の良い磁器に触れているような、そんな気がした。
そのまま手を上に動かし、ブラを外した。
直に見えないので、少々手間取ったが、ヨウコとどうしていたか思い出してやった。
手をツキコの膨らみに載せると、軽く喘いだ。眼は、閉じているようだ。
柔らかくも弾力のある感触、そしてその大きさは手の平には若干収まりきらない程だ。
ツキコはスレンダーなのだが、触ってみると存外ボリュームを感じる。
思わず握ってみると、ツキコが顔をしかめた。
「あうっ……! 少し、痛い」
「ゴメン、じゃあ、このくらい?」
「あっ……そんなの、答えられないわ」
「それなら、ここはどんな感じ?」
「ああッ! あっ、あっ、そんな、摘まないでェ」
ツキコの膨らみの先端を軽く摘んだり、指で弾いたりすると、大きな反応を示した。
声を出すのが恥ずかしいのか、下唇を噛んで声を出すまいと我慢しているが、耐え切れずに口を開けて声を漏らしたりもした。
その姿はたまらなく愛らしく、そして初々しくもあり、やはりヨウコとは違う。
ただ残念なのは、触りはするものの、布団を被っているので彼女の素肌が目では確認出来ないことだ。
「なぁ、布団、取っちゃ駄目?」
「駄目よ、恥ずかしい」
「どうしても?」
「――――今日は、駄目。もっとこういうことに慣れたら、また考えるから……」
素肌を見る許可は貰えなかったが、ドキリとするような答えだ。
慣れたら、ということは次の機会も、そのまた次もあるという意味では……。
それにしても、やはりツキコはなかなかガードが堅い。
ケータイで裸を見せるのと、直接見せるのでは、何か恥ずかしさの度合いが違うのだろうか。
そのあたりの女心は理解しかねたが、それ以上言い募ることはやめた。