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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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兎の決意-14

「あの……これ……だよね?」
「そ、そう」

 ゴムの上からとはいえ、あの真面目そうなツキコが俺のものを掴んでいることに感動を覚える。
 ツキコは上気した顔を少し横にそむけて、俺の方を見ずに、誘導しようとしていた。
 彼女に掴まれながら、彼女の熱っぽい顔を見ていると、心と体の両方が感じてしまってそれだけで放出しそうになる。
 それをじっと我慢していると、やがて俺の先端は柔らかい何かにあたって止まった。
 その瞬間、ツキコがうっ、と軽く唸った。

「ここで、いいの?」
「う、うん……」
「じゃあ……いくよ?」

 ツキコは覚悟を決めたように、目をつぶりこくりと頷く。
 いよいよだ。いよいよ、ツキコと俺はひとつに――
 俺も覚悟を決めて、腰をツキコのそこに入れ込もうとした瞬間、

「やッ! いっっっっったあああああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!」

 もの凄い衝撃が俺の脇腹に走った。
 彼女の膝が俺の脇腹にしたたかに入ったのである。
 普段では考えられないような奇声を発したツキコは、それと同時に布団の中でムエタイか何かの技を繰り出し、俺のレバーを粉砕した。

「ぐえっ……」

 潰れたカエルのようなひどい呻き声を出すと、俺は技を食らった勢いのまま、ベッドの下に裸でもんどり打って転落する。
 受け身すら取れずに、ドシンと鈍い音を立てて、俺は一発でノックアウトに至った。

「あっ……ご、ごめん。ごめんなさい。大丈夫……かしら?」

 大丈夫ではなかった。
 やはり、不意を打たれると人間は弱いものだ。やや意識が朦朧としている。
 俺はようやく仰向けになると、ベッドの上から布団を体に巻きつけて見下ろしているツキコの視線に気づいた。
 彼女の目は俺を心配するというより、興味深そうに俺の股間の方に向いている。
 あ、俺も裸で……何故か途端に恥ずかしくなり、俺は股間を隠した。慌てて、ツキコも目を逸らした。

「あの、ごめんな? 俺が痛くしちゃったんだろう?」
「いいえ、こちらこそ……わたしが、我慢出来なくって、蹴っちゃったりして」

 お互い、黙り込んだ。
 これ以上行為を続けるべきなのだろうか。痛いというなら、別に無理に続けなくても。
 そんな思いが俺の心のなかに芽生え始めた。
 ツキコに痛い思いをさせてしまうのは、やはり何か嫌だ。
 でもそれはいつか経験することで、俺は他の誰かにそれを任せてしまうのか。
 俺は結局、どうしたいのだろう。
 悩んでいると、ツキコがぽつりと呟いた。

「これって、なかなか、うまくいかないことなのね」
「――そう……だな」
「でも、うまくいかないことをふたりでクリアしていって、絆って深まるのね、きっと」

 俺はそれにどう答えていいのかわからない。
 それを実感するような経験はまだ無いからだ。
 ツキコも無いはずだが、そういう彼女はどこか大人に見えた。ヨウコも、そうだ。
 
「わたしは、タムラ君とふたりでクリアしたいわ。もう一度、手伝ってくれる?」

 俺の前に、ヨウコの細い手が差し伸べられた。
 何かカーッと俺の中の血液が沸騰してくるような気がした。
 ツキコの白く細い手を握りベッドに戻ると、俺は再びツキコを抱きしめた。


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