里美 第７話-11
ある日。
ふらっと買い物をしに隣町へ行った。
夫のものを数点買い、ついでにデパ地下で夕食の食材を探していた。
「さとみさんっ！」
振り返ると、太一が少し離れた所から手を振っていた。
「もぉ、恥ずかしいじゃん。こんなとこで大声で」
近づいてきた太一に笑いながら言った。
「どうしたの？こんなとこで逢うなんて」
「ちょっと買い物に…里美さんは？」
「あたしも買い物しにきたんだけど、ついでに夕食の。。何作ろうかと迷ってたの、たいちゃん何食べたい？」
「カレーっ！」
「カレーかぁ。。」
即答する太一に苦笑しながら、誰に言うとなしにつぶやいた。
（めんどくさいしな、カレーでいいかぁ」
そんな事を考えていると、太一の舐める様な視線を感じる。
今日の里美は、両肩の肩口まで開いている、ざっくりとした膝丈のニットワンピ。
街を歩いていると、すれ違う男が視線を送ってくるとのに何回も気づいた。
（あたしもまだ、捨てたもんじゃないな）
男から見られる度に、里美は内心笑いながら、まんざらでもなかった。
デパ地下でも、かがんで品物を見定めている時も、幾度も里美の胸元を覗きに男がさりげなく近づいて来る。
里美は薄いブルーのレースのブラに包まれた乳房を、惜しげも無く見せつけた。
レースの薄い生地に薄い裏地だけのブラは、里美の乳房に質感をそのままに男達に見せつける。
それ見たさに、何回も行き来する男もいた。
そんな里美の姿を、太一もまぶしそうに見ていた。
「そんなに見ないでよ、恥ずかしいじゃん」
笑って太一のおでこをポンと叩いた。
「いや…あの…その…すみません。。。」
太一は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「疲れたぁ。たいちゃん冷たいジュース買ってきて」
会計を済ませエレベーター脇の、ちょっとした休憩所のベンチに座ると、太一に言った。
「ありがと、もう年だね。人ごみは疲れちゃう」
里美は買ってきてくれた冷たいお茶を開けると、おいしそうに一口飲んでいった。
「ちょっとお手洗いに行ってくるね、待っててね」
太一に荷物をあずけると、里美は立ち上がってトイレへ向かった。
個室に入ると、里美は用を足すとブラとパンティーを脱ぎ、バッグに入れた。
手を洗いながら、鏡を見ると明らかにさっきと違って、ノーブラの胸元がわかる。
「お待たせ」
帰ってきた里美を見ても、太一にはノーブラだと言うのはわからないみたいだった。
「まだ時間ある？」
太一は腕時計を見ると、こくんとうなづいた。
「ん？誰かと待ち合わせ？」
「はい、親と来てるんです。あと30分くらいなら…駐車場で待ち合わせなんです」
「そっか、こないだのこともあるし。。。挨拶しとこうかな」
「いいっすよ。そんなこと」
太一は思春期の男の子らしく、頑なに拒んだ。