星を数えて act.3-8
「崇はいつになったら私を見てくれるの?私だって崇を独り占めしたいよ……」
私の傘を、彼は優しく持ち上げた。大きな手が、私の瞳をなでて、雫をぬぐう。
そっと頬にあてられる暖かい右手。
崇の瞳をじっと見つめた。
優しい、小さい頃の、あの約束したときの瞳。
瞳が自然に閉じられた。刹那、唇に感じるふわりとした温もり。
サァッと騒ぐ雨の音すら聞こえない。
涙がゆっくりと閉じた瞳からこぼれた。
崇の温もりが、
すごく優しくて、
暖かくて
そして。
辛かった。
幸せだけど辛かった。
本当は、
私だけを見て
私だけにキスしてほしいよ━━━━……。
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