星を数えて act.3-7
「お前さ」
「何?」
傘を持ち上げて彼を見上げると、横目で私を見ていた。
「よく友希に普通に笑えるね。辛くねぇの?」
馬鹿にするかのように軽く笑う声が耳につく。
我慢よ、叶。いつものことじゃん、いつもの……
でも、でもね。
「辛いよ」
「ん?」
「辛い」
崇を見つめる。自然に二人の足はとまる。静かに雨の音が私達を包む。
「私だって崇を好きだもん。小さい頃から、ずっと崇をみてきたんだよ」
「小さい頃から?」
そう尋ねる彼に、私はゆっくりとうなづく。
「中学の体育祭はいつも団長してたよね。すごくかっこよくて、また中学生の崇を好きになった。でも、まわりに女の子ばっかりいたから、話しかけることもできなくて。崇に会えないの嫌だから、高校、同じとこ行けるように必死に勉強したよ。受かったときは嬉しかったぁ」
崇は、私をじっと見て話を聞いている。煙草を吸わずに聞いてくれてることが少し嬉しかった。
「いざ入ったら、相変わらずもててたから、やっぱり見てるだけだった。でも心のどっかで、いつか私を見つけてくれるって信じてた。まぁ崇は女の子を取っ替え引っ替えしてたし、年上とばっかりで年下に興味ないって言ってたのたまたま聞いたから、見てるだけでも幸せかなぁって、あきらめかけてたけど」
でも
「せっかく同じアパートになって、私、こんなにも頑張ってるのに。約束だって守ってきたのに」
ぽろぽろと涙があふれてきた。
いつもの強い私はどこかにいってしまって、私はうまくはなせなくなる。