11-1
病院を後にした元は、携帯を手に取った。
足取りも気分もこの前とは違う。
「もしもーし!元ちゃん?」
「うっす」
「......絢ちゃんのとこ、行った?」
「あぁ。なんかね、元気だった。無駄に」
「えっ!?」
拍子抜けしたのだろう。
それは、あの時の元も同じだ。
いや、それ以上か。
「いや、ほんとね、元気だった。無理してって感じもしたけどね」
「そっか.....でもよかった....」
「うん。よかった....」
「あ、元ちゃん。今日来るんでしょ?」
「あぁ、お邪魔しようかな」
「うん!今ご飯作ってるから、早くおいで!」
「うん、ありがとう。すぐ行くねー」
美帆には、正直に話をしないといけない。
木下と高畠二人に行った事を。
黙っていればバレることはないだろう。
しかし。
筋を通す。
美帆には嘘をつけない。
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絢にサボテンを買った花屋がまだ開いていた.
呼び寄せられるように再び立ち寄った。
スタッフの男性が気付く。
覚えていたのだろう。
「いらっしゃいませー。今日、二回目ですね」
「あぁ...はい」
特に要は無い。
しかし再び来てしまった以上、何か会話を続けなければならないと思った。
「あの....花、探してるんすよね」
「どのような?」
「あー.....縁起のいいやつを」
「縁起のいいやつ....ですか?」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
が、引くにも引けず、適当に続けた。