11-5
「うん.....俺も」
「でも、約束を破ったこと自体は許せないよ。きっと、何かやらかすだろうとは思ってたけど」
「....うん...ごめん....」
「私との約束は、そんなに軽いの?」
「んなわけないよ....」
「.....絢ちゃんと誠くんの為かもしれないけど、元ちゃん達がやったことは誇れることなんかじゃないんだからね」
「うん」
「元ちゃん達がやったことで、その二人以外にも傷付いた人たちきっとたくさんいるよ?」
「うん....それも....分かってる」
「元ちゃんの気持ちも分かるよ。絢ちゃん達があんな風にされたら.....私だって仕返ししてやりたいって思うし」
「うん」
「でも、傷を付け合っても何も生まれない。傷は付けるより、癒す方が難しいんだから」
「うん」
「約束も破るのは簡単だけど守るのは難しいんだから...」
「うん...」
言いながら美帆は右手を元の左頬に重ねた。
美帆の手は震えていた。
「元ちゃん、ごめんね.....たたいちゃって.....」
「みーちゃん...」
「初めて人のことたたいちゃった.......ははっ、手が痛い....」
「..........」
「痛かったよね.......ごめんね....」
「.....癒す力ってこういうことか」
「....え?」
「ほっぺ。みーちゃんに触られてると痛くねぇの」
「...へへっ...」
美帆は両手で元の顔を包んだ。
見つめ合う。