そこにある愛-8
エスプレッソかよって突っ込みたくなるほど小さなカップに注がれたブレンドコーヒーをチビチビ飲みながら、店内をグルッと見渡す。
隣のテーブルには、あたしと同年代に見える若い女の子が三人、キャピキャピおしゃべりしながらケーキセットをつついていた。
みんなあんなんによく800円も出せるなあ、あんな小さなケーキでお腹空かないのかなあ。
疑問に思いチラチラ見るけど、女の子達はみんなモデルさんみたいに細いウエストをしていたから、きっとあれで満腹になれるのだろう。
さらにはみんな、長い脚、洗練された服、化粧崩れ一つしてない綺麗な顔をしていて、それぞれの彼氏ののろけや愚痴なんかを言いながら盛り上がっていた。
そんな様子を見てると自然とため息が出てくる。
都会の女になれば、あたしだってこんな風になれると思っていたけれど。
そうしてガラス戸に映る自分の姿を見ればより一層深いため息が出てきた。
スカートからはみ出たむっちりした短い足、安っぽさ全開の縫製の下手な服、硬くて真っ直ぐな髪はいくら頑張って巻いた所で、時間が経てば取れかかって、くたびれたように見えてくる。
周りの女の子よりもはるかに劣っている自分が急に恥ずかしくなって下を向いた。
本当は気付いてた、自分のレベル。
友達が可愛い娘が多かったからそれに必死で追いつきたくて、オシャレだって恋愛だって頑張ってきた。
でも、やっぱり現実は厳しかった。