そこにある愛-11
跳ね上がる心臓、滲み出る手汗。
気を失いそうになるのをこらえながら、ゆっくり彼の顔を見ると、
「茜ちゃんって明るくて可愛くて、一緒にいると元気になるね」
と笑った。
「俺、もっともっと茜ちゃんのこと知りたくなったよ。
もし、時間があるなら俺の家に来ない?」
と、意味深に笑った。
咄嗟に浮かぶのはあたしと誉さんが裸で抱き合う光景。
出会って数分だけど、この展開に生唾を飲み込んだ。
ついに……ついに来たんだ、ロストバージンを迎える日が!
あたしは、エロいDVDを見たあのときの衝撃を思い出した。
あんなことがついにあたしの身に起こるのか……!
いつか来るべき日のため、元気から無理矢理エロいDVDを借りて色々研究していた。
声の出し方とか、女の子の身体を比べてあたしのは変じゃないかとか、体毛はどこまで処理しとけばいいのかを知りたくて、元気にはなるべくノーマルで、素人もので、なおかつ無修正のものをリクエストしたんだけど、“お前、マジ気持ち悪い”ってドン引きされたっけ。
でも、ついに研究の成果を発揮する日が来たんだ。
あたしは、男子高校生のごとくはやる気持ちを隠しつつ、恥じらいを見せてなるべく純情アピールをするため、控え目に
「……はい」
とだけ頷いた。