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警鐘
【その他 官能小説】

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一の交流-1

 『オリオン』とは私、三月里緒(みづきりお)のことで、『ノブナガ』と名乗る男性と知り合ったのは、ある交流サイトがきっかけだった。

 あれは確か三年ほど前のこと。
 当時の私は二十七歳で、二つ年上の夫と、二歳になる娘との三人家族で、平凡ながらも幸せと言える日々を過ごしていた。
 結婚当初は相手のだらしない部分ばかりが目について、些細なことでもすぐに口を尖らせていたのに、不思議なもので、娘が生まれた途端にそれがぴたりと止んだ。
 目には見えないけれど、家族の絆は確かに育まれていた。

 ただもう一つ、出産を機に大きく変わったことがあった。それは性生活のこと。夫が私の体を求めなくなった。

「出産に立ち会ったときに見た光景が、あまりにショックでさあ」と夫はセックスレスの理由を漏らした。
 それは私にもわかるような気がする。もちろん感動もあっただろうけど、それ以上に私の体が醜かったにちがいない。分娩とはそういうものだから。

「浮気してるのかと思った」

「そんなわけないじゃないか」

 夫は優しいままだった。私は少し落ち込んだけれど、いつかまた元の生活に戻れるだろうと信じていた。
 そんなふうに心の中では割り切っているつもりでいた。
 だけど私は妻であり、母親である前に、一人の女。たった一度きりの人生を、女として終えたいと願っている。月経が巡ってくる限り、セックスなしではどうにもならない。

 女性週刊誌をめくれば、既婚女性のほとんどが夫以外の男性と体の関係を持ったことがある、なんて記事にも興味が湧いてくる。
 家族を裏切ることなんてできないと思いとどまったり、そうかと思えば出会い系サイトにアクセスして、他人の書き込みを閲覧している自分がいた。
 それこそ遊び相手を募ることはしなかったけれど、体はだんだん不機嫌に盛り、快楽を求めて熟していった。

 そうして娘が保育園に通いはじめると、しぜんと私にもママ友ができるようになった。
 そのおかげで、家事に追われながらもようやく自分一人の時間が持てるようになり、パートをしたり、ママ友たちと井戸端会議をしたりと、以前よりも満たされていると感じることが多くなった。


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