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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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お礼は倍返しにして-5

佐和子がすべてを終えて戻ってきた。
「ごめんね。お待たせしちゃったね」
聡美は分かっていながら訊いた。
「どう?出ました?」
「ありがとう。おかげで助かったわ。ほら見て。お腹少し凹んだでしょ?」
佐和子は自分の下腹部を見せ、ソファの元の位置に座りながらそう言った
「ところで聡美ちゃん、私のトイレ、聞いていたんでしょう?」
佐和子は扉の向こうで聡美が聞いていたことを分かっていた。

かつて、合宿研修で聡美に施した浣腸の後、高まる便意の中で無意識のうちに聡美が口走った、
「お父さん来ないように見張っていてね!」
のセリフを思い出していた。
あの時には、可笑しなことを言うものだとしか思わなかったが、赤ちゃんのように自分の乳を吸う聡美の顔を見た今では良く分かるのだ。
かつて、この子の母が聡美にしてあげた浣腸の後、母はトイレの前で見張っていてくれたに違いない。
浣腸便の激しい排出音は、中学1年生の聡美にとって母親には聞かれても父を含めた他の家族には絶対に聞かれたくないことだったのだろう。
その時にも同じセリフを言ったに違いない。
母と二人だけの秘密にしておきたい経験。
女同士の秘密の経験。
それが浣腸だった。
「おそらく、この子は私に母を見ている」
今までぼやけていた輪郭がはっきりと見えてくるように確信した。
男が自分に好意を持っていることを知ってしまった時に感じる気持ちに近いが、少し違う。
それはかつて経験したことのない、初めてよぎる感情だった。

「トイレの前にいたって、なんで分かったんですか?」
聡美は無邪気に質問した。
「分かるわよ。だって、…見張っていてくれたんでしょ?」
佐和子の言葉にはっとし、そして顔赤らめた。
なにか心の中の核心を突かれた気がしたのだ。
同時に、自分の中に潜む得体の知れない心の空白を理解してくれたような気がして、少し気持ちが楽になった。
「佐和子さん…」
顔を赤らめたまま、聡美は照れ隠しのように笑った。

浣腸が媒介となり愛の交換をしたことで、二人は親密さが増していた。
肩を寄せ合い、まるで姉妹のようにも見える。
二人の前のサイドテーブルに敷かれたテッシュペーパーの上には、使い終わった浣腸の空容器が2つ載っていた。
戦いが終わったばかりの砲塔の先からは透明な滴がこぼれ落ち、少しテッシュペーパーに滲んでいた。
それを二人で見つめた。
「佐和子さんの便秘も解消してくれたし、よかった。わたし、なんだかとっても幸せな気持ち…。」
聡美は、もやもやした心のつかえが取れ佐和子の便と一緒にトイレに流してしまったかのように清々しい気持ちだった。
二人は同じ精神状態を共有していた。
「浣腸って、いいものだね」と。
聡美が子どものように、また甘えてきた。
「ねえ、もう一度、チュしよ」
優しい母親の佐和子は快く応じた。
「いいわよ」
二人は自然に唇を重ね合わせた。


【終】



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