第四話(行為なし)-4
「わー手が勝手に(棒読み)」
衣装ダンスを開くと、当然ながら色々な服がきちんと整理されて仕舞われていた。
「お、おぉっ?」
そしてその下に気になるものを発見してしまった。
「こ、これはまさか、ローターというやつでは…」
アイドルが持ってていいのかこんなもの!?
「貰っておきます」
***
4月29日月曜日の朝。
仕事が終わったらしい香澄さんから電話がかかってきた。
「お疲れさま」
『う、うん。あ、ネックレスありがとう』
「気にいってくれました?」
『うん…ところで君、私の部屋から何か持っていったか?』
「合鍵とブラジャー」
『ほ、他には?』
「タンスの中にあった怪しいブツ」
『か、勝手に開けるな!それから返せ!鍵ごと返せ!』
ブラジャーはいいんですか。
「これを使ってオナニーしていたんですか?」
『そ、そうだ。文句あるか!?』
逆ギレされた。いや、逆でもないか。
「今度返しますよ」
『今すぐ返せ!』
「今すぐ使いたいんですか?」
『ち、ちがっ…』
「でも気付くの早いですよね。さっき帰ってきたばかりじゃないんですか?」
『し、仕事疲れで、溜まってたんだ…』
とうとう白状しちゃったよ。
「そうですか。それじゃあおやすみなさい」
『鬼ーーー!』
その後香澄さんから『呪いのメール』というタイトルの怪しげなメールが何通も届いたが、すべて無視した。
***
翌日の火曜日。
「ぐえっ!?」
普段通り登校していると、いきなり襟首を引っ張られた。犯人は香澄さん。
「お、おはようございます。朝から元気ですね」
「昨日の夜電話したのに、どうして出てくれなかったんだ」
「呪いの電話かと思って」
「も、もうアレのことはいいんだ!」
「アレとは?」
「君が盗んでいった物のことだ」
「はてなんのことやら」
「とぼけるな。まったく…」
ふっふっふっ…今度Hするときに使わせてもらいますよ。
「あれ?」
校門に差し掛かり、違和感を覚える。
「今日はファンの人たち、来てないみたいですね」
「ようやく言うことを聞いてくれたらしいな」