第四話(行為なし)-2
「じゃあなんで一度断ったんですか?」
「その時は本当になんとも思っていなかったんだ。だが君は、何度も私にアプローチしてきただろう?」
「そうですね…思い返せば好きでもない人にやられたら苦痛ですよね…」
「そんなことを言いたいのではなく、君が言った言葉を体現しているのだと思ったのだ」
えっと、努力すれば報われる…だっけ?
「しかし君は一週間近く、私に会いに来てくれなかっただろう?」
「はい…」
北風と太陽作戦のことか。
「君が来てくれなくて、どうしてこないのかと不安になっている自分がいた。そんな時にまた君がやってきて、捨てられた子犬のような顔をされてトドメをさされたんだ」
トドメって…。
「香澄さんって年下好きですよね」
「そういうわけではない。なよなよしてて、頼りなさそうで、素直で真っ直ぐな君が好きなだけだ」
前半褒められてる気がしないんですけど!?
「たまーに男らしいところもあるかな」
「たまーにですか…」
「たまーにだ」
とほほ…頼りがいのある男になりたい。
「君は私のどこが好きになったんだ?」
「前にも言ったと思うんですけど、まず顔ですね。とにかく凛としていてかっこよかったんです」
「かっこいい?可愛いではなく…?」
むぅと不満そうな顔を向けてくる香澄さん。
「可愛いですよ。可愛くてえっちです」
「えっちは余計だ」
むぎゅ、と頬をつねられる。
「君だってえっちじゃないか」
「年頃の男子高校生なんてそんなもんです」
「初めてはベッドの上でって言ったのに、お風呂で発情するなんて…」
ううん?たしかに最初に手を出したのは僕だけど、最初に求めてきたのは香澄さんだと記憶してるんだけど。
でもまぁ生で挿入したあげく二度も中出ししちゃったし、どっちもどっちということにしておこう。うん。
「今度からはコンドームを使います」
「しゃれか?」
「え?」
「なんでもない。…うん。妊娠したら、君は困るだろうしな」
「香澄さんだって困るじゃないですか」
「私は…いや。私のことはいいんだ。例え妊娠しても、君に迷惑をかけるつもりはないからな」
もし妊娠したら…産む、のかな…それとも中絶…?