「すき?」-8
先生は徐々に出し入れする深さを深めていく。あたしも徐々に痛みを感じ始めた。
「せ、先生。痛い・・・」
「ごめん。でも、もう奥まで入るよ。」
先生はそう言うと、一際私の奥まで沈んでいった。
うわぁ・・・すごい圧迫感。
「かぁっ・・・はぁ・・・痛い・・・」
私の目尻に涙が伝う。
「・・・今、奥まで入ったよ。大丈夫か?」
先生は私を深く貫くと、覆いかぶさり、私を抱きしめた。私もぎゅうっと抱きしめ返
す。
・・・どうしよう。なんか涙が出てきた。・・・痛み以外の。
「先生・・・」
私はこの感情をうまく表すことが出来ないので、縋るように先生を呼んだ。先生も察
してくれたようで繋がりながら頭を撫でてくれる。
「藤崎、『先生』じゃなくて名前で呼んでくれないか?」
私は先生の希望を叶えようと、先生の名前を呼ぼうとした・・・ら。
ん?
あれ?先生の名前って何だっけ?
・・・。
・・・・・・。
・・・うーんと。
「先生って名前あるの?」
私は、ストレートに『先生の名前ってなんだっけ?』って聞くのも失礼かな?と考え
ていたら、もっと失礼な事を言ってしまった。
・・・やばい。
私は恐る恐る先生の顔を見た。
先生は上身を起こし、呆れて目を点にしていた。
「・・・おまえ、俺が『北沢先生』って名前だと思ってたの?」
私も、何となく後には引けない。
「う・・・うん。」
私も、素直に言い間違えたって謝ればいいのに肯定してしまった。
先生は、呆れ顔のまま目を細めると、
「んな訳あるかぁ!」
と言って、一気に腰を引くと私の奥めがけて差し込んだ。
「ぎゃっ!先生!!」
私は、痛いのとビックリしたので、慌てふためいた。でも、私の両足は先生にがっち
り掴まれているので、逃げる事はできない。
「お前なぁ〜。萎える事言うなよ・・・」
ため息を吐きながら、先生はそういった。
「先生痛いよ〜!!なによ!先生だって私の下の名前知ってるの?」
私は涙ながらに言い返す。痛いよぉ〜・・・
先生は、また覆い被さるように私を抱きしめると、耳元で囁くように言った。
「藤崎亜由子。亜細亜の亜に、自由の由に、子供の子。」
「・・・知ってるんだ。」
「あ〜の〜な・・・。俺、お前の担任だったんだぞ?」
先生は、また呆れたように言った。
「あ。そっか・・・」
「それに。好きな女の名前ぐらい覚えるだろ?普通」
今更ながら、また「好き」という言葉を先生の口から聞いてドギマギしてしまった。
そんな私を見て、先生はやさしく笑ってくれた。
「亜由子、俺の名前は北沢平太。平和の平に、太平洋の太。」
「へーた・・・」
私は先生の名前を口にのせてみた。平和の平に、太平洋のた・・・か。
「へーた・・・。呼び捨てもなんだよね。なんて呼べばいい?」
「好きに呼んでいいよ。」
うーん・・・先生は、ニコニコしながら答えてくれた。名前を私に呼ばれたのが嬉しい
ようだ。・・・うう、可愛い。本当に、なんでも好きに呼んでいいのかな?
「・・・じゃあ、ペーター?」
私としては、ウケ狙いのつもりで言ったんだけど・・・。先生は、また目が点になって
固まってしまった。