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二人は瞬時に近くの自販機まで走り、部活帰りで喉が渇いている体を装ってみた。
目の前を通り過ぎて行ったが、怪しまれている気配もない。
「あっちゃん、ちょっと焦ったな...」
「うん....でもバレてはいないと思うよ」
「母ちゃんかな?」
「ぽいね」
「しかし何だあれ....熊?」
「犬」
「マジで?」
「セントバーナード」
「犬?」
「犬。てかさ、んなことどうでもいいんだよ。チャンスだ」
改めてさりげなく家の方向に向かう。
通りに面した表札の隣、郵便受けにさりげなく投函。
そのまま世田谷通りまで進む。
振り向いて見たが先程の女性は確認出来ず、無事に任務は完了したようだ。
「よし、てっちゃん。帰ろう」
「よっしゃー終わった!」