鳴海の大魔神-1
22時54分。
紗綾は窓から外を覗き込んだ。美恵子のクルマに、勝雅と客人らしき二人が乗り込んでいくのが見えた。四人で食事にでも行くのだろうか?
処女膜を突き破って、ヴァギナに入ってきた肉棒の余韻が残っている。もう何も入れられていないのに、オマンコが異物をくわえ込んでいる感覚があった。
紗綾は部屋を出て、浴室前の脱衣場でネグリジェを脱いだ。浴室に入り、シャワーを浴びる。
ふいに涙が込み上げてきた。
(大切にしていたヴァージンを奪われてしまった。もう、後戻りできない……)
勝雅の寛ぎ部屋に戻った紗綾は、下着を着けて、Aラインブラウスとショートパンツに身を包んだ。
本宅の離れにある自分の部屋に戻る。ミニーちゃんが描かれた布団カバーの上に腰掛けた。今夜は眠れそうにない。空しい。空しさが重くのしかかってきて、潰されるのではと思った。
先輩、お元気ですか?
なぜか、あおい先輩の声が聞きたくなりました。会いたくなりました。
深夜にMAILしてごめんなさい。
紗綾
メールを送信した。この3月までモンドバーガーで一緒にバイトしていた香坂あおいにメールを送信した。あおいは、鳴海商業高校の二年生で、モンドバーガーでも先輩であった。紗綾に対して懇切丁寧に仕事を教えてくれた人。笑顔がステキな人。
メールを送ってから五分もしないうちに、香坂あおいから電話が掛かってきた。
「こんばんは、あおいです。今、電話いい?」
「だいじょうぶです。先輩こそいいんですか?」
「今、ドライブ中。となりにはEXILEのリーダーがいる」
「EXILEって?」
「ジョークよ。それより何かあったの? 声、沈んでるよ」
「ええ、ちょっと……」
「今から会えない? 今、さーちゃんの家の近くだよ」
「会えます!」
門の外で待っていると、四角っぽいセダン車が停まった。白色で4ドアだった。助手席から香坂あおいが降りてきた。髪の毛は以前と変わらないセミロング。フラワープリントの半袖カットソーに、足首まで隠れるマキシ丈の夏っぽいスカートに身を包んでいた。
「おまたせでした〜」
「せんぱい〜」
涼しげな瞳、親しみやすい団子鼻、きりっとした唇。桜が咲く前とまったく変わらない香坂あおいだった。